写ったぁ

「人の命」「親子の絆」考える・「天と地の守り人」

2016. 6.6 (三郷市)
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 子ども司書2期生・遠藤加奈子(えんどうかなこ)さん(14)三郷市立早稲田中学校3年生
 「天と地の守り人」(上橋菜穂子著・偕成社)

   この本は、私の大好きな上橋菜穂子さんが描く「守り人」シリーズの第3部、そして最終巻である。
 王国同士の戦いや内戦が様々な視点から描かれている物語。主人公の新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、実の父に暗殺されそうになるが、生きて父の待つ国へと帰る。父のため、国のために他国との同盟を結び、戦いの現況を伝えるために帰還したというのに、人々にそれを理解してもらえる事はなかった。
 この本に登場する皇太子チャグムからは、目が離せない。穢れを知らず明るかったチャグムは幾つもの戦いの中、たくさんの屍を踏みながら歩み、殺伐とした気配をまとい、厳しい目をする青年に変わっていく。その姿は、かわいそうという一言では表せないものだった。たくさんの死体を前に、「何のための死だ!」と言ったチャグム。私は、その言葉が頭から離れることはなかった。自国を守りたいという気持ちは同じはずなのに……、そう感じた。
 世界観は現実的でありながら、現実では味わえないファンタジーの要素が盛り込まれている、このような本が私は好きだ。この話は、ファンタジーであるのに妙にリアリティーがあり、「戦争」という観点で見れば、私たちにも無関係な話ではない。「人の命」、「親子の絆」……、についても改めて考える良い機会になる「おすすめの本」だ。(協力・三郷市教育委員会)
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