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えさ場なく野生化は困難・シラコバトの「増殖」取り組み

2015.9.21 (越谷市)
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 越谷市の市の鳥で、国の天然記念物に指定されている「越ヶ谷のシラコバト」が絶滅の危機に瀕している。このため同市では、埼玉県と連携し「増殖」のための専用飼育舎を同市内の「キャンベルタウン野鳥の森」内に初めて造ることにした。年内に完成し、来春から県が飼育しているシラコバトを譲り受け、ペアリングし本格的に「増殖」に取り組む。同市の調査によると、市内でシラコバトの生息が確認されたのは2羽だけ。2012年の環境省レッドリストで「絶滅危惧TB類」となっており、保護と増殖が緊急課題となっている。ただ同市内は都市化の進行で、えさ場がない状況のため「野生復帰」は困難な状況が予想される。

 シラコバトは1956年に、国内での希少性から国の天然記念物に指定され、1965年に埼玉県の「県民の鳥」、1988年に越谷市の鳥に指定され、県のシンボルとして親しまれている。県マスコットの「コバトン」のモチーフになっている。首に黒い横線があり、白っぽく、細身で尾が長いのが特徴。越谷市など県東部を中心に1980年ごろまでは約1万羽が生息していたとみられる。
 シラコバトは養鶏場など畜舎周辺を主なえさ場とし、こぼれたえさを食べていたと見られる。畜産農家が減少したことに加え、畜舎も「鳥インフルエンザ」対策で野鳥の侵入を防ぐ構造になった。越谷市環境政策課では「えさ場の減少が主な原因と考えられるが、2000年ごろを境に、市内でほとんど見ることができなくなった」としている。同市は昭和40年代は養鶏が盛んな地域で、ピーク時の1970年には飼育戸数500、飼育数は60万羽にも上った。都市化の影響でその後減り続け、今は養鶏場はない。
 このため、市は県の協力を得て、2008年4月に「県農林総合研究センター」で飼育しているシラコバト4羽を譲り受け、「キャンベルタウン野鳥の森」で増殖に取り組むことにした。2013年11月には「県こども動物自然公園」からつがいの成鳥1組を譲り受け、昨年10月に同野鳥の森で初となるシラコバトのひな1羽が誕生した。その後も順調で、今年5月までにさらに2羽が誕生。現在、同野鳥の森では11羽のシラコバトを育てている。
 今回、市が設置する専用飼育舎は木造平屋の面積26・44平方b、高さ3bのもの。建設費は450万円で、うち200万円を県が補助する。年内に完成させ、来春から飼育を開始する。飼育舎は内部に3室あり、県から新たに譲り受けるなどして、ペアリングして「増殖」を目指す。
 同市環境経済部の鈴木正明副部長は「現在、市で確認している野生のシラコバトは、市北部の平方地区の2羽だけ。えさ場の減少が主な原因だと考えられる。ケージ内での繁殖はすごく困難ではないが、問題は育った成鳥を野外に放鳥すること。野生化は難しいかもしれない」と話す。市では現在の11羽から20羽にすることを目標としている。
 シラコバトのビデオ記録撮影をしている、元中学校校長で越谷ビデオクラブ会長の川島健司さん(79)は「昔は養豚場などがあった新方川周辺にたくさんのシラコバトが飛んでいた。2000年ごろから急速に減っていった。最後に撮影したのは2005年から07にかけてのもので、今では新方地区では見られなくなった」という。
 市の鳥でありながら、実際に見たことのある市民はほとんどいないのがシラコバト。今後、「野生化」へは、えさ場の確保など、さまざまな困難が予想されるが、根気よく続けて絶滅を防ぐしかないだろう。
    (安部 匡一)
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