6 東武よみうりウェブ版 とーよみnet

写ったぁ

家族と行政のパイプ役期待・認知症交流の場できる

2014.11.3 (三郷市)
記事の写真
 「認知症高齢者」の徘徊や介護、家族の負担などが社会問題化している中、この問題に早くから取り組み始めている三郷市は4月から市内の福祉団体などに委託し、地域の認知症の人やその家族の交流・相談の場「オレンジカフェ」(認知症カフェ、認知症サポーターのオレンジ色のリングから命名)を市内3カ所に開設した。厚生労働省が進めている「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン、計画期間平成25〜29年度)」に位置付けられた支援施策の一つ。県内では川越市、春日部市に開設されているが数はまだ少ない。このカフェを拠点に認知症に対する地域の理解を深め、必要に応じ行政支援につなげていくのが目的だが、認知症高齢者やその家族とどう向き合っていくか、まだ手探りの状態が続いているようだ。
 厚生労働省の推計では、認知症高齢者の介護サービス利用は、305万人(2012年度)が17年には373万人に上昇するとしており、介護費は増加傾向にある。
 三郷市は、介護保険の要支援要介護認定を受けた65歳以上の高齢者約4000人のうち、医師による「認知症高齢者の日常生活自立度」から認知症の障害があると判定された高齢者は約2000人と把握している。これにより、市は県内でも先がけて認知症対策に乗り出し、2011年度から、福祉施設、医師、ケアマージャーによる「認知症ネットワーク」を立ち上げ事例検討や合同研修会などを行う一方、認知症に対する理解を深めてもらう「認知症サポーター講座」や成年後見制度の相談会なども実施してきた。
 介護する家族にとって、徘徊による事故や行方不明になることが一番の心配で、命に関わる危険性が高い。市では、市民の協力で認知症高齢者、高次脳機能障害者などを早期発見するシステム「認知症等徘徊SOSネットワーク」も立ち上げた。捜索依頼があった場合、協力事業所などに身体的特徴などが情報提供されるシステムで、現在約40事業所が協力し、対象者登録者は約70人いる。昨年4件、今年は9月末現在で10件の捜索依頼があったという。
 今年度からスタートしたオレンジカフェは、市介護費から費用をねん出し委託。市や包括支援センターがサポートし、必要な人への行政支援につなげていくのが狙い。認知症予備軍を含め、潜在的に悩みを抱える家族と行政とのパイプ役ともなる場所。
 市ふくし総合相談室・森泰子室長は「認知症に対する理解のある市民の手で、身近な場所で気軽に入れ相談できる場所になれば。当面は包括支援センターと同じ数の5か所のオレンジカフェ設置が目標」という。
 今後は「初期の段階での集中支援」を狙いに医師や介護福祉士、保健師などによる医療と介護両面からの専門チームを創設し、市内5カ所の包括支援センターに設置する予定だ。
 4月から委託を受けて、月2回オープンしている高次脳機能障害者家族の会「地域で共に生きるナノ」(谷口眞知子代表)では、戸ヶ崎2丁目で開いている、交流カフェ「MILC」に併設。認知症は高次脳機能障害と重なる部分が多く、会員にも認知症介護経験者が多数いるため、この事業に名乗りを挙げた。谷口さんは「認知症本人やその家族、支援者、専門職にいかに足を運んでもらうかが課題」という。
 認知症気味の義母を介護してきた、47歳の主婦はこのカフェを知り訪れた。「家族の精神的なストレスは大きく、体調も壊しました、家族は認知症と認めたくないため、未だに医師の診断は受けていない。こういう場所でみなさんに話すだけでも楽になります」という。
 谷口さんは「深刻な状況になる前に、情報効果の場として気軽に相談してほしい。だれもが認知症になりうる、他人ごとではありません。認知症に悩むさまざまなニーズを吸い上げる地域のアンテナとなりたい」という。
 これまでオレンジカフェに訪れた認知症高齢者やその家族の中には、認知症だけでなく、障がいを持つ人、一人暮らしなど、深刻になりうるケースもある、という。認知症の妻に対する夫の暴力や、家族が認知症に気付かないなどさまざまだ。
 オレンジカフェは、「地域の窓口」として今後欠かせない役割となりそうだ。 (金子 貞雄)
>戻る