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30億円から7割増しの見通しに・新庁舎の移転新設

2014.6.16 (吉川市)
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 老朽化していた吉川市役所が市内きよみ野1丁目の、市民交流センター・おあしす隣接地に移転新設することになったが、吉川市は5月29日に、新庁舎の建設費が当初試算の30億円から52億円に増える見込みであることを明らかにした。東日本大震災被災地の復興事業などの影響で、資材単価と建設業の労務単価(人件費)が上昇しているためだという。試算は2012年12月に発表したものだが、費用が70%もアップするため、同市は頭を抱えるが、市民からは、事業費試算の甘さを指摘する声もある。

 吉川市の新庁舎は敷地面積約1万5000平方b、建物は免震構造の3階建て。延床面積は約8475平方b。今年度中に実施設計、建築工事に係る手続きを行い、来年度着工。2016年度中に完成、移転を目指している。
 同市役所(当時は吉川町役場)は1968年に建設されたが、JR武蔵野線の開通などで大幅に人口が増加し、行政需要が拡大したため、事務室が4か所に分散し不便なのと、東日本大震災では本庁舎のガラスが割れるなど被災し、耐震性に不安を抱えていたため、移転新設を決めた。
 同市の新庁舎建設計画は1990年に庁舎建設基金条例を制定しスタート。基金の積み立てを始め、市民団体の代表者らで構成する「庁舎等整備検討委員会」が1993年3月にまとめた報告書を基に、1996年にはきよみ野地内に庁舎建設用地を購入した。当時の購入金額は1万5000平方bで約20億500万円だった。用地購入まで順調に進んだが、庁舎建設には至っていなかった。
 2012年に基本計画を策定。ほかの市町の庁舎建設費を参考に30億8600万円と試算した。ところが今年3月、基本設計を終えて、専門家らに建設費を見積もってもらったところ、新庁舎棟が約49億5400万円、付属棟が約1億3400万円など計52億4000万円と、当初の試算を20億円以上、約70%も費用が上がることが判明した。
 東日本大震災後の全国的な鋼材など資材不足による値上がりに加え、国の指導により、労務単価を上げたことで、人件費が急騰。さらに消費増税に軟弱な地盤の補強のため、地下50b以上の補強工事費が必要になるなど、費用上昇の原因が増えた。
 同市の戸張胤茂市長は「庁舎は災害対策の司令塔としての役割を発揮するためにも、大地震時に機能を停止しない強い庁舎が必要。これまでの課題を解決するため整備は急務。将来の市民のために進めていく」と速やかな建設を強調している。これから、実施設計に入るが、同市財政課は「費用を圧縮するためにも、建設資材をなるべく汎用品や既製品を使って、コストを抑えたい」としている。
 新庁舎の基本理念は「安全で快適なまちづくりの拠点として、市民と共に歩む開かれた庁舎」。設計コンセプトは「コンパクトで使いやすい庁舎」。6年後に東京五輪が予定され、建設コストがさらに上昇する可能性もある。同市の庁舎建設基金積立金は16億6000万円(今年3月末)で、今年度3億円を加え、残りの30億円以上の建設費は借金(市債)になる。市民生活に影響が出る恐れもあり、慎重な議論が必要だろう。
  (安部 匡一)
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