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「農林調整」で先行き不透明・吉川美南駅東口の区画整理

2014.4.21 (吉川市)
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 2012年3月に開業したJR武蔵野線の吉川美南駅の西口は区画整理事業が進んでいるものの、東口はまったくの手付かずになっている。同地域は農業を振興する調整区域のためだが、市は同地域の市街化区域編入に向け、地権者を対象に土地利用に関する「意向確認調査」を実施。同地域を区画整理することについて、賛成が61%、条件付き賛成24%と8割の賛成が得られたため、今年度から準備を進めることにした。ただネックになるのが、国(農水省)による農林調整で農地から市街地への編入はハードルが高い。

 同市の計画によると東口周辺の約60fを市街化し土地区画整理事業を実施し、街路整備と宅地開発をする。施行期間は約10年(清算期間含まず)。総事業費は約174億円を予定している。意向調査は昨年10月から11月にかけて全地権者261人を対象に行い、226人(回答率87%)から回答を得た。
 集計結果によると、まず「所有している土地を今後どのように活用しますか」について、「農地として自己活用」は2%と最も少なく、未定30%、売却する14%など農業の高齢化を背景に農地としての存続は困難なようだ。「市の提示した土地区画整理事業」については条件付きを含めて85%を占め、おおむね理解されている。
 このほか、意見として「他地区との道路のつながりをスムーズにしてほしい」「沿道に商業の発展が望めるように配慮してほしい」「地権者が土地利用しやすい用途(準工業地域)にしてほしい」などのほか、「減歩などの負担が大きい、市街化区域に編入すると税金が高くなる」など慎重な意見もあった。
 同市の岡田誠都市計画課主幹は「昨年9月に地権者の皆さんを対象にした区画整理事業の説明会を開催し、意向調査を実施した。おおむね賛成が得られてほっとしている。今後スムーズに事業が実施できるよう国との調整を図りたい」と話す。
 今回の意向調査を経て、土地利用計画を一部見直した。幹線道路について、県道越谷流山線から武蔵野線側道へのルートを優先し、地区外とのアクセス性を高め、円滑な交通処理をする。また、工場や企業などの産業ゾーンと住宅ゾーンに分けて住みやすい土地利用計画を図ることにしている。
 市はこれらの結果を踏まえて、今年度同地域都市計画決定事業を実施。約9264万円を使って、環境影響調査や現地調査、交通解析調査などを行い、事業計画書を作成。早期の計画決定を目指す。
 駅の設置が決まった翌年の2008年から、県と市街化に向けた協議を始めている。吉川は優良な農地が広がり、これまで農地確保のほうに重点が置かれていた。食糧需給率の低下の背景もあり、市街化への見込みは立たない。課題は国(農水省)を交えた「農林調整」(都市計画と農林漁業との調整措置)だ。この認可がないと一切開発ができない。
 市内の農業男性(51)は「駅ができて便利になったが、すでに周辺の越谷レイクタウンや新三郷のららぽーとに人が流出している。区画整理は通過車両が便利になるだけなのでは」と疑問を投げかける。すでに、反対側の西口では整備が進み、小学校をはじめ、一部商業施設もオープンした。「農林調整」の大きな課題もあり、東西アンバランスの解消にはまだ時間がかかりそうだ。
  (安部 匡一)
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