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「クワイ発泡酒」復活だ・市も前向き検討

2014.2.17 (越谷市)
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 幻の「こしがやブランド」? 越谷市の特産品・クワイを使った発泡酒「慈姑楽我(くわいらがあ)」を知っていますか。同発泡酒は市内の農家が考えたオリジナル商品で、1998年に市が全面支援して開発に成功、販売をしていた。元祖ブランド商品だが、製造会社の事情などで、2010年度から製造・販売が休止されている。クワイ独特の「コク」が特徴だった。考案したのは、市内のクワイ農家でつくる「越谷くわい研究会」で同会の金子繁雄会長(58)は「越谷の特産品を使った貴重な商品。ぜひ復活させたい」と願うのだが。

 「慈姑楽我」は、金子会長ら同会会員12人が、「越谷の特産品を使い、ふるさとの名産品を作ろう」との考えで、研究をスタート。きっかけは川越市の特産品のサツマイモを使った発泡酒が作られているのを知ったからだ。「サツマイモでできるのだからクワイでもできるのではないか」(金子会長)と思い、川越市の酒造メーカーを訪ねて試行錯誤しながら開発を進めた。
 準備を進めていくと、思っていたより費用がかかるため、研究会では市に相談し、市側も@市の農業活性化になるA特産品のクワイと市の農業の絶好のPRになると、この発泡酒の新規開発費の半額(50万円)を市が補助することを決めた。市のバックアップが会員らの後押しとなり、開発は軌道に乗り、1998年11月に完成した。330_g入り1本500円。クワイ含有量40%、アルコール度数7%の全国初のクワイを使った酒は話題になった。
 クワイ生産農家である金子さんは、クワイへの熱い思いがある。「最初は本当にできるか半信半疑でしたが、酒造会社の協力で完成しました。すっきりとした味で、かつほろ苦さがあるという感じです。名前はクワイを我(われ)、楽しむという意味からつけました。この商品で越谷のクワイをPRできた」と振り返る。製造委託を受けたのは川越市の酒造メーカー・協同商事(朝霧重治社長)。販売開始1年で農水省の「優良ふるさと食品中央コンクール」で「食品産業センター会長賞」を受賞するなど、味は折り紙つきだった。市内8か所の酒販店で販売したほか、同会では、市民まつりや農業祭などのイベントでも販売し、好評だった。
 ところが、こだわりのビールを作り続ける同商事は、2007年に「COEDOビール」がモンドセレクションを受賞したのを機に、増産体制となり、「慈姑楽我」用の製造タンクの確保が困難になり、2010年度から製造が休止されている。同社によると「現在もタンクがフル稼働で、空きのない状況」という。そのため、復活のメドは立っていない。
同市の向佐秀雄・農業振興課長は「今後、どんな方法をとれば、発泡酒が製造・販売できるのか、くわい研究会と意見交換していきたい」という。
 越谷はクワイの生産県内1位を誇り、年間約120dを生産している。栽培面積は12fにのぼる。金子会長は「越谷のクワイは品質の良さが自慢。クワイ発泡酒の製造復活のために、どうしたらいいか、皆で探っていきたい」と話す。
 今後は新たな製造メーカーを探すなど、再スタートのために、行政も含めて知恵を出すことが必要だ。
    (安部 匡一)
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