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綾瀬川「舟運」復活なるか・「なかね和舟の会」動き出す

2013.9.2 (草加市)
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 かつての綾瀬川舟運が現代風によみがえるか。このほど「子どもたちにふるさとの川辺の魅力を伝えていきたい」と草加市中根町地区の市民有志により、町内を流れる綾瀬川を昔ながらの手漕ぎ舟で周遊しようと「なかね和舟の会」(田川清会長)が結成され、手漕ぎ操船の練習が行われている。綾瀬川は草加のシンボルである草加松原遊歩道も並行して通り、観光名所としても市の代表的な場所。観光事業に力を入れている市としても、「市民発案のこうした試みは大いに支援していきたい」としているが、本格的な事業化に向けては課題もいつくかあり、今後の行方が注目される。

 なかね和舟は、「今様・草加宿」市民推進会議(岡野喜一郎会長)から、「綾瀬川で舟遊びができたら面白い」と支援を受けて4月に発足。中根町会相談役の田川清さん、榎本武彦町会長らが中心となって市内旧家に眠っていた農作業や投網に使っていた小舟2艘を探しだし譲ってもらい修復し、櫓も新たに作った。さらに、知人が趣味で所有していた和舟も借りられることになり、5、6人程度が乗れる舟が3艘確保された。町内住民に漕ぎ手を呼びかけると30代から60代の約60人が集まった。
 東京都江東区の横十間川親水公園周辺で週1回、和船乗船体験事業を行っている「和船友の会」(氷見修三会長)の指導を受けて、4月から月1回のペースで舟をこぐ練習が始まった。7月14日には、綾瀬川左岸広場船着場で、「和船友の会」の根本明洋事務局長らが草加に指導に訪れ、会員たちは2艘の和舟に乗り込み、櫓の漕ぎ方を練習した。
 榎本町会長(65)は「熟練者なれば片手で簡単に漕げるようですが、私たちはまだまだ、数十bの距離をこぐだけでも大変。札場河岸から越谷市蒲生の藤助河岸まで往復できるようにするのが目標。できれば来年には子どもたちを乗せてあげられるようにしたい」と意気込む。今年の練習会は寒くなる前の9月下旬まで行う。
 同和舟の会の田川会長(74)は「私が子どもの頃は、綾瀬川で泳いだり遊んだりした。シジミもとれたし、レンゲ畑も広がる自然景観豊かな場所だった。道路から見る松並木の光景と、川面から見る松並木の光景とは、全く違う。川から見た草加の景観の魅力を孫の世代に伝えていくのが自分たちの務め。来年は、子どもたちにこの和舟に乗ってもらい、川から見た光景の素晴らしさを知ってもらいたい」という。会では将来的には、菜の花や彼岸花を植えたり、ごみ清掃など景観を守っていく活動もしたいという。
 綾瀬川左岸広場は現在、防災公園として整備中。練習会は、国土交通省が整備した船着き場を使い行っている。同会では、練習会のたび、保管小屋から舟を綾瀬川まで運び入れる手間がかかり、専用の船小屋の設置も市に要望している。
 市内では、観光協会が葛西用水で桜の季節に、小舟による金婚式を例年行い、人気がある。綾瀬川も江戸時代には米や味噌などを江戸に運ぶ舟運が盛んだった歴史があり、札場河岸公園にその名残りがみられる。綾瀬川は一級河川のため国土交通省の管理下にあるが、エンジン付きの舟ではなく管理上妨げになるものではないため、現在の練習会は「水遊び」という観点で、問題はないとの回答を得ているという。ただし、今後本格的な事業化をめざすとなると、法的な手続きや係留・保管場所が必要となったり、課題も多い。さらに綾瀬川は時間帯によっては潮の干満の差が激しく、流れも速いという安全面でのネックもある、という。
 市文化観光課の本田秀康課長は「観光資源の発掘として、観光客を呼び込む起爆剤にもなりうる夢のある話で、大いにバックアップしたいが、事業化については現状ではクリアすべきハードルが高い。観光用資源として生かせる方法を今後検討していきたい」という。
 江東区や川越市などで行われているような観光舟運が草加でも定期的に運行されれば、草加の観光にも弾みがつきそう。なかね和舟の会の活動が注目される。(金子 貞雄)
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