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調剤や接客を実習・越谷市薬剤師会が育成事業を実施

2013.3.18 (越谷市)
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 「医薬分業」が進展し、薬局の需要が増えているが、越谷市薬剤師会(鯉渕肇会長)では、「かかりつけ薬局」として市民の薬への正しい理解をしてもらおうと、店頭や市保健センターなどでの相談のほか、「夜間おくすり電話相談」を実施しているほか、将来の薬剤師を育成しようと薬学生を受け入れる「薬学教育実務実習」に力を入れている。受け入れを始めて3年目になるが、毎年15人もの学生を受け入れ、「どんな人ともコミュニケーションできる薬剤師」の育成を目標に市内の薬局で現場指導している。同実習は接客や実際に薬局製剤を作る作業も行い、実践に即したものとなっている。「花粉症」の季節になり、薬局を訪れる機会が増える時期だが、薬剤師の仕事の内容を知る機会は少ない。今回は、まちの薬剤師の活動を見てみる。


 薬剤師になるには、大学の薬学部を卒業しないと国家試験を受けることができない。その薬学部が9年前から6年制になり、大学のカリキュラムで現場の薬局で勉強する「薬学教育実務実習」が組まれた。5年生が対象で連続11週間にわたり、病院や薬局で実習する。越谷市薬剤師会では、一般社団法人・病院・薬局実務実習関東地区調整機構の依頼を受けて、3年前から受け入れを始めた。毎年15人ほどの学生を受け入れている。
 実習では接客のほか、薬剤師について調剤の補助をしたり、現場で学ぶ。越谷市南越谷のサイトウ薬局で1月から研修している、毛利実世さん(23)=東邦大学薬学部5年=は「薬の知識だけでなく、患者さんと接する際の態度や話し方など、大学の講義と違った部分が学ぶことができるので勉強になります。薬局業務に加えて、学校薬剤師の仕事をしたり製薬会社の見学などいろいろな体験ができて、とても楽しい」と話している。
 また、同薬局で薬局製剤(薬局ごとに許可を取り、製造販売することのできる薬)の実習を終えた、横田仁美さん(23)=明治薬科大学5年=は「ふだん私たちが触れている薬は出来上がった状態なので、自分たちで一から作るとなると、粉の状態が一つ一つ違うため混合するのも一苦労で、時間や手間がかかることを実感しました。今、薬局製剤を扱っている薬局は少なく、それは手続きが多いことやPL法など多くの法律が関わっていて、薬剤師の責任が大きいからだということを教えてもらいました」と感想を話していた。
 指導する同薬剤師会の齋藤和也副会長は「現場では患者さんに対して薬の説明をするときも言葉の表現力が必要になってくる。学生たちは実習を重ねることで、言葉使いが変わってきます。受け入れ先としても勉強になるので、お互いのレベルアップにつながる」と評価する。
 一方、「夜間おくすり電話相談」は月曜日から金曜日までの午後8時から11時まで、同薬剤師会会員が交代で受けている。年間30件ほどだが、内容は発熱など「小児」に関するものが多い。鯉渕会長は「医薬分業が進んで、越谷市内ではすっかり定着した。今後はかかりつけ薬局を市民の方に持ってもらえるようさらに、身近な薬剤師会として、情報を発信していきたい」と呼びかける。そのための「シンポジウム」も毎年開催し、今年も2月に7回目を企画、市民約300人が来場するなど好評だった。このほか、「越谷市介護相談薬局」にも47か所の薬局が登録し、身近な介護相談も受けている。
 「医薬品のインターネット販売」も解禁されそうだが、これについては「ネット販売は匿名性が高く、販売された健康食品や違法ドラッグ、脱法ハーブや世界的に問題になっている偽薬などによる健康被害の発生も見られる。現状では、市民の医薬品の適正な選択、使用、安全を揺るがしかねない販売方法であり、薬剤師との対面による相談・説明のうえで購入・使用することが重要であると考えます」(中村幸弘副会長)と慎重な姿勢を崩さない。
 まちの薬剤師は、身近な存在で薬の相談なども積極的行っている。ただ、こうした薬剤師会の地道な活動は告知不足で、あまり知られていない。市広報などでも告知しているが、行政側はイベントなどでもう少し「かかりつけ薬局の重要性」などについて、アピールする必要があるだろう。
 (安部 匡一)

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