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写ったぁ

文芸評論家、松原団地の作家をテーマに出版・染谷洌さん

2013.2.25 (草加市)
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 老朽化に伴い建て替えが進む「松原団地」。かつて、この団地に居住し活動をしていた作家は後藤明生、小山龍太郎、古賀孝之、加奈山径ら、およそ30人に及んだ。しかし、今それを知る人は少ない。「草加の文化・文芸活動に尽力した作家たちを検証する、足跡として記録を残しておきたい」という思いから、主な作家たちの仕事や交流した思い出をまとめ、1冊ずつ昨年から出版を始めた。このほど、忍者ものなどの歴史小説作家「草加の小山龍太郎」(松風書房)を出版した。
 昭和53年ごろ、団地の新住民と地元住民とのあつれきがある中、「文化・文芸を通した交流ができないか」と、団地の作家たちと一緒に、近代文学の学習会や研究会「埼東文化会」発足などに携わった。その中で草加を詠んだ正岡子規や高浜虚子らの俳句、松尾芭蕉の「奥の細道」に着目した。これが、のちに全国初の「奥の細道国際シンポジウム」や市民総合文芸誌「ふれあい」創刊など草加市のまちづくりにつながっていった。
 若いころ作家をめざしたが断念しサラリーマンに。師事していた丹羽文雄氏から「お前は評論に向いている、の一言で文芸評論の道に行く決心がついた。丹羽氏につけてもらったペンネーム「洌」(本名は義男)はかえがえのないもの」と大事にする。柿木町の豊田三郎(森村桂の父)など地元の作家の作品を発掘、世に出した。もうひとつのライフワーク「歴史研究」では草加宿案内人の会の養成や地元の歴史学講座も手掛ける。
 「草加の文化・文芸史に残すべき輝きを持った人たち。あと10人くらいの作家のことを書き残しておきたい」と使命感に燃える。茨城県坂東市出身。

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