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官民連携で「にぎわい」復活を・目指せ「越ヶ谷宿」再現

2013.2.18 (越谷市)
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 昭和40年代のにぎわいを復活させたい。越谷市は越谷駅東口周辺を国の「中心市街地活性化法」に認可してもらい、市街地を開発しようと同活性化の「基本計画」を1月にまとめ、準備をスタートした。同市環境経済部では「2年後に国の認可を受け、15年度からの実施を目指す」としている。国の認可が受けられれば同地域の開発にかかる費用の一部が国からの補助金が得られるなど、スピードアップが図られるが、「商業の活性化」や「少子高齢化に対応した都市機能の充実」を目指すとともに、「越谷の顔」作りが課題になっている。

 越谷駅東口周辺の市街地は、江戸時代から日光街道第3の宿場町「越ヶ谷宿」として栄え、歴史や文化、自然が融合した街。1962年に地下鉄日比谷線の相互乗り入れが開始し、都心までの所要時間が大幅に短縮されたのを機に、都市化が進み、昭和40年代には人口が年間約1万人以上増える年が続いた。このころの越谷駅周辺は、商業の中心として近隣から多くの買い物客が訪れ、にぎわいを見せていた。
 ところが、ほかの地方都市同様、モータリゼーションの進展やライフスタイルの多様化に伴い、郊外への大型店の出店が進み、中心市街地の商業が活力を失ってきた。さらにバブル崩壊後の不景気もあり、空き店舗が増加し、衰退はより深刻な状況になっている。昨年秋には駅前再開発で商業ビルや住宅棟も完成したが、「にぎわい」は復活せず、駅前は寂しい状況が続いている。
 こうした閉塞感を打破しようとしかけたのが、昨年7月に地元越ヶ谷地区の商店主と市が共同でしかけたイベント「第1回日光街道宿場町サミット」だ。東京から栃木県日光市までの全街道沿線自治体に呼びかけ、日光街道沿いを活性化しようと、シンポジウムや講演会などを企画し議論した。近隣などから約600人が参加し、「今後、生き残りのために何が必要か」を話し合った意義あるイベントだった。この盛り上がりを機に市側も中心市街地活性化に向け、拍車をかけた。
 同市では、中心市街地の区域を元荒川や葛西用水の自然資源や越ヶ谷久伊豆神社を生かし、市街地内の回遊性を強化するため、同神社周辺も加えた越谷駅の東側約78fとした。基本テーマは「水辺を生かし 越ヶ谷宿の歴史が息づく 暮らしやすいまちづくり」。基本方針は@暮らしやすいコンパクトなAにぎわいと魅力あるB回遊性のある、まちの形成だ。
 同市の長柄幸聖環境経済部長は「高齢化社会を迎え、普段の買い物や役所への用事、医療機関への通院など徒歩で移動できる社会、コンパクトシティが目標。そのためには歩道を含めた道路整備のほか、高齢者に適した住宅づくり、空き店舗対策などさまざまなことに取り組んでいく」と話す。
 国の認可を受けるには、民間活力の重要だ。市民主体のイベントや伝統工芸などの地域資源のネットワーク化を進め、誰もが訪れたくなるような「越谷ならでは」の楽しさ、魅力を充実させることが課題。市の構想はこれからだが、「今の計画段階で、同整備には60億円以上の費用がかかる」(同市・清水秀樹環境経済部副参事)としており、国の補助なしでは整備は困難な状況だ。
 一方、地元では昨年からにわかに整備に向け議論が活発になっている。昨年の「日光街道サミット」を企画した新町商店会で日用生活品店を経営する井橋潤さん(48)は「越谷駅東口再開発でこれから、1200人も住民が増え、地元商店会にはビッグチャンス。素案に盛り込まれている古民家や蔵を活用した越ヶ谷宿再生も有効な手段だ」と話す。そのために@にぎわいの創出(越ヶ谷宿は歴史、文化の宝の山)A街なか居住(歴史的建造物と人との共存)B個店の魅力アップ(特色づけ、他店との連携協力)を井橋さんは挙げる。「この実現の中核をなすのは人。仲間づくり・組織づくりを積極的に進め、市や商工会、県など行政と各関係団体との連携を深めたい」という。
 中心市街地活性化の国の認可は県内では川越市だけで、全国的にもハードルが高いとされる。認可に向け課題は山積しているが、「越谷ならでは」や「越谷の顔」など一般の人にシンプルでかつ楽しいイメージづくりが重要。ベッドタウンで進展してきた越谷市にとって「個性」を求めるのは困難だが、今後は官民一体となった議論が必要だろう。
  (安部 匡一)

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