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写ったぁ

ふるさと宮古を想い描く・小島 由美子さん

2012.12.24 (越谷市)
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 「ふるさとをイメージした作品が初めて入選して、驚きとうれしさでいっぱいです」と笑顔で語る洋画家。今年11月、フランス芸術家協会の国際公募展「ル・サロン」に入選し、仏・パリの美術館グラン・パレに展示された。作品は「いつかどこかで見た月」(F50号)の油絵。海の海草をイメージした独特のグリーンを基調にした透明感ある「心象画」だという。
 「ル・サロン」は1667年、ルイ14世の提言により創設された世界最古の伝統を持つ公募展。今年で223回目を数える。マネやルノアール、ロダン、ミレーなど世界の美術史上に残る巨匠たちがここからデビューした。昨年は「落選」したが2度目の挑戦で入選を果たした。
 岩手県宮古市生まれ。三陸の海を見ながら育った。景勝地「浄土ヶ浜」のそばで暮らし、幼いころから絵を描くのが好きだった。小学校2年生のときに、親の仕事の関係で千葉に転居。東北訛りの言葉をからかわれ、一時期、不登校になったが、好きな絵を自宅で描く生活を楽しんだ。高卒後、都内の大手印刷会社に就職。レタッチ(画像修正)の仕事に携わる。
 23歳で結婚退職後、しばらくは長男(30)、次男(24)、長女(28)の3人の子育てに追われるが、一段落した33歳のときに「好きな絵を本格的に勉強したい」と岩槻市(現・さいたま市)の絵画教室に通った。画家の故・藤田万吉さんに師事し、10年間、静物、人物、風景と油絵の基本を習得した。
 「絵はいろいろ挑戦しましたが、やはり人物画が好き。描いていると、(人物が)自分に似てくることが多いですが、なかなか、完璧な絵にはなりません」。1997年には初個展を市内で開催したほか、地元の越谷市展には8回入賞し、今年4月からは推されて越谷美術協会の会長に就任した。
 同美術協会は会員70人を抱える大所帯。今年発足40周年を迎え、初の女性会長となった。「プレッシャーはありますが、持ち前の明るさで活動を続けていきたい」。自営業の夫・忠義さん(61)は絵についてはまったく批評はしないが、「画材購入のスポンサーです」と影の応援は欠かさない。
 ふるさと岩手は昨年の東日本大震災で被災し、宮古市の親類を津波で亡くした。今年も何度か被災地を訪ねたが「がれき処理が終わらない」現状に憂う。「私の絵のルーツは岩手の海。平和だったときを思い出して、心象風景として描き続けたい」が信念だ。
 (安部 匡一)
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