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利用者伸び悩みの地域も・曲がり角の「平成塾」

2012.11.19 (草加市)
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 草加市教育委員会が平成元年から、小学校の余裕教室(空き教室)を活用して設置してきた、地域の高齢者の憩いの場や生涯学習の拠点施設「平成塾」。来年には、古いところでは25年目を迎える。活動が盛んなところでは、老朽化に校舎の建て替えに合わせ、活動スペースが倍以上になるところもある一方、利用者数が少ないところでは、そのテコ入れに市教育委員会では苦慮するところもあるようで、過渡期を迎えている。
 平成塾は、当時少子化が進み、余裕教室が目立つようになったことから、活用策のひとつとして高齢者同士の憩いの場、高齢者同士で教えあう共同学習(生涯学習)の場、児童と高齢者の世代間交流の場として、高齢者、学校、PTA,民生委員、町会・自治会が中心となって運営する施設として、草加小学校を第1弾にスタートした。1教室分(約64平方b)を和室などに改修し、外から直接出入りできる構造になっている。利用時間は原則平日の月曜日から金曜日の午前10時〜午後4時。開設当初は、高齢者福祉に寄与する施設として全国的にも注目を集めた。
 市の方針としては、開設当初は市内全22小学校に設置する計画だったが、10年前に14か所目の八幡平成塾の設置以降、見送られてきた。少子化で一時的に減っていた児童数が、地域によっては増加したことや児童クラブ(学童保育)の併設などが進み、空き教室が確保できない状況も出はじめためだ。近年は各平成塾の利用者数はPR不足のためか、地域によってバラつきも出はじめている。昨年度の年間のべ利用者数では、@栄平成塾2万236人A草加平成塾1万4733人B新栄平成塾4956人の順。少ないのは、八幡北平成塾937人、両新田平成塾957人。八幡北は目の前に八幡コミュニティセンターがあり、両新田は高年者福祉センター・ふれあいの里が設置された影響があるようだ。市教育委員会生涯学習課では「当初は、憩いの場としての利用が高かったが、現在の平成塾は、約5割が世代間交流、4割が共同学習での利用度が高い」という。
 1990年7月、市内2番目に開設した「栄平成塾」(森村カヨ子運営委員長)は、現在、16サークルがあり、日によっては部屋が足の踏み場のないほどにぎわう。趣味、健康づくりと高齢者にとって欠かせない場ともなっている。利用者の一人、桜井桃子さんは(71)(親善町)は「週に4日は書道、ストレッチ、卓球のサークル活動で通っています。趣味と健康づくりができて最高」、牧野時枝さん(83)(松原)は「絵画サークルと卓球で週に2,3日来ています。友だちもいっぱいできたし、孫のような子どもたちとも交流できて楽しい」とうれしそうだ。
 森村運営委員長(69)は「23年前、まだ40歳代のころ、PTAで培ったノウハウを生かしてなんとか軌道にのせました。うちでは会費制にしてトイレ清掃委託費やお茶菓子、備品購入など捻出し、運営、活動の輪が広がりました。みなさん、ここへ来るのが生きがいで楽しいと言ってくれるのがうれしい。子どもたちとの交流は元気がもらえるし、街中で会えばあいさつしてくれるほどになっている」という。
 世代交流では、児童への毎週木曜日の読み聞かせや季節ごとのふれあい交流会、今年度からは小学校のクラブに伝統文化倶楽部が誕生し、平成塾利用者が月3回の活動日に、茶の作法や百人一首かるた、昔遊びなどを教えている。平成塾を核に近くの保育園や幼稚園にも世代間交流が広がっている。こうした活動の効果は大きく、市教育委員会では現在、建て替え工事が進む栄小学校新校舎に平成塾のスペースを倍増し4部屋分確保することを決めた。
 市教育委員会生涯学習課・細井親子課長は「松原団地地区には公民館のような施設がないため、栄平成塾の利用度は高い。利用者の意識も高く世代間交流活動は学校だけでなく地域に広がっている。市内平成塾のモデル的存在」と評価する一方、平成塾の今後の方向性としては「直接出入りできるスペースが確保できず設置できない学校や、また時代の変化で児童クラブ併設を優先するなどで、新設の予定は未定。利用者数が減っている平成塾については、生涯学習課で特別講習会を行うなど利用者増へのPRを検討していきたい」という。
 近年は核家族化がすすみ、おじいちゃん、おばあちゃんとのふれあいが少ない家庭は珍しくない。その反面、子育てやしつけに悩む親たちも増えているのも事実。平成塾が、昔ながらの親から子、孫と受け継がれる地域コミュニティの在り方を新しいスタイルで取り戻してくれるのではないだろうか。地域の学校を核にしたこうした平成塾は今の時代こそ、必要であろう。
(金子 貞雄)

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