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駐輪ラック設置に難題・草加駅東口「放置自転車」対策

2012.10.16 (草加市)
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 草加市は、東武スカイツリーライン・草加駅東口の再開発ビル・アコス周辺を埋め尽くす「放置自転車」対策に苦慮している。自転車利用者のモラルが問われるが、再開発ビル誕生後20年以上が経過しても、未だ解消できない「放置自転車」問題に、障害者や赤ちゃんが乗るベビーカーの通行妨害ともなるため、その対策に頭を抱える。放置防止効果が期待される有料駐輪ラックの設置などの案も出ているが、道路法の壁に阻まれスムーズにはいかないのが現状で、打開策を模索している。
 草加市の条例では、駅周辺半径500b以内は「自転車等の放置禁止区域」に指定、告知看板も設置されている。草加市の場合、市内4駅の中でも、特に草加駅東口は1992年春、再開発ビル・アコスが開業したことに伴い放置自転車が増えた。現在の市開発関係条例では、店舗面積に応じて駐輪場確保が義務付けられているが、アコス開業当時は設置義務がなかったため、放置に拍車をかける要因ともなった。アコスの駐輪場は丸井側に約300台分のみで、地下のため利用しにくい面もある。放置されるイトーヨーカドー前やヴァリエ周辺は大半が市道で、通勤通学利用者と店舗利用者の自転車が混在し放置されている。十分空きのある周辺の民間駐輪場を利用しない通勤通学利用者が多いことや店舗用駐輪場の利便性の低さ、慢性的な不足も原因だ。構造上の問題を指摘する声もある。店舗利用者には、すぐ目の前で駐輪しやすい意識も働くようだ。店舗側では、放置自転車を撤去する権利がないため、点字ブロックや安全スペース確保のため整理するだけにとどまっている。
 草加市交通対策課によると、放置自転車の撤去台数は2010年度が市内4駅合計で1万132台、そのうち草加駅は東西口で約4100台あった。昨年度は1万1578台でうち草加駅は約5200台を撤去した。「市内4駅の撤去の日時をランダムに振り分けて撤去しているが、そのすぐ後に放置されたりといたちごっこで、負のスパイラルに陥っているのが現状」(市交通対策課)という。放置自転車の撤去費用に、業者委託費で年間約3000万円の市予算が使われているのが現状だ。返還時に所有者から移送手数料を徴収し費用に充当しているが、返還率は約6割にとどまり、市財政の負担となっている。
 同課では、放置自転車の実態把握のため、年間で最も放置数が増えるとされる夏休みの7月29日に午前9時〜午後7時、草加駅東口の放置禁止区域で市独自の方式で調査を実施した。2時間おきに新しく駐輪された自転車に色別のタグを取り付けていく方式で調査したところ、ピーク時間帯は、買い物客が増える午後3時で1816台にのぼった。調査時間帯のうち、2時間以内の駐輪が最も多く全体の4割を占め、最大で約400台であることもわかった。
 これにより、一定時間を無料とする有料駐輪ラックを設置した場合、400台以上の収容台数の確保が必要となると分析した。駐輪ラックは、長時間放置する通勤通学の自転車利用者を周辺のまだ空きが十分にある民間駐輪場に誘導する狙いもあり、これにより、放置自転車を一掃したい考えだ。駐輪ラックは、すでに年間約3400台撤去していた、松原団地駅西口に設置し絶大な効果をあげた経緯がある。市立中央図書館などが入る駅前マンションの管理組合や商店会の協力で300台分を設置し10年度から運用し、利用率は100%。ただし、料金が割安のために、近年は短時間利用者より、通勤通学の長時間利用者が増えているのが現状で新たな対策が必要になっている。
 道路上に駐輪ラックを設置する場合、道路法に基づき埼玉県公安委員会との協議が必要となる。市が草加警察署、埼玉県、アコス、ヴァリエ、草加駅など10団体と設置した「放置自転車対策会議」でも駐輪ラック整備の必要性が指摘されたが、歩行者の安全確保のために交通量の多い場所では、道路構造令に準じ「幅4b」の安全スペース確保が求められているため、アコス周辺はラックを整備するとそのスペースが確保できる場所と出来ない場所ができ、必要な台数の確保が困難となる課題も浮上している。県内の場合、駐輪ラックが設置されているのは、所沢、新座市のみで、ハードルは高い。
 菅沼茂夫交通対策課長は「駐輪ラック設置は、早急に出来る暫定的な改善策。駅周辺には1台の放置自転車もないことが理想。この問題はいつまでも先延ばしはできないので、実態に即した措置を求めて対策をすすめたい」という。
 放置自転車の社会問題は、東武線沿線ではかつては、越谷市のせんげん台駅がワースト1を記録したことがあるほど深刻化したが、近年は駐輪場整備や徹底した移送撤去で徐々に大幅に解消されている。構造上の問題もあるだろうが撤去活動だけではなく、「放置できない環境づくり」がまずは必要だろう。
(金子 貞雄)

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