写ったぁ

予想下回る利用者1日7人・4月開設の成人夜間診療所

2012.10.1 (越谷市)
記事の写真
 越谷市は救急医療を充実させるため、今年4月に同市東越谷10丁目の旧看護専門学校施設の一部を改修して「成人夜間急患診療所」をオープンした。小児以外(16歳以上)を対象に365日夜間に診察するもので、診療科目は内科。毎日多くの患者が訪れることを期待した同市だったが、開設して4か月が経った8月末現在で訪れた患者は948人。1日平均7・1人と市側の予想の1日11人を大きく下回っている。同市保健医療部では「小児と違い、大人は(診察を)我慢しているのかもしれない。もっと多くの利用を見込んでいたのだが」とするが、告知不足も否めないようだ。

 同診療所の診察は越谷市医師会(藤田安幸会長)に委託して行っている。今年度の年間委託料は6600万円。来年度以降も年間6200万円ほどかかかる見込みだ。スタッフは同医師会の内科医80人がローテーションであたり、診療所には医師1人、看護師2人、薬剤師1人、事務員2人が働いている。同市では、小児医療については2002年12月に小児夜間診療所(谷中町)が開設されていたが、これまで初期救急医療の夜間帯が未整備だった。同市保健医療部では「今回の同診療所開設で小児から一般まですべての時間帯で救急医療体制が整った」としている。
 救急医療体制は、病気やけがの状況に応じて、初期、第2次、第3次の救急医療に分類されている。越谷市内では現在、救急車の搬送が年間約1万件もあり、そのうち約6割は軽症な患者だという。そのため、本来の2次、3次の救急医療に支障が生じる状況になっている。このため、それぞれの機能を十分に発揮することができるよう、今回の診療所開設となった。
 しかし、開設後1日あたり11人の患者を想定していたが、利用が下回っている。同部によると開設当初の4月は1日9・2人だったが、8月には1日6・4人まで落ち込んだ。男女別では8月末までに女性547人、男性401人となっていて、年齢別では20歳から29歳が208人ともっとも多く、次いで30歳から39歳の207人と続く。
 疾患別ではいわゆる「かぜ」がもっとも多く、次いで「急性胃腸炎」、「頭痛」、「急性胃炎」の順になっている。同診療所の売りは市立病院などの後方支援体制があること。これまで、検査や入院などで67人を病院に送っており、その割合は7・1%にのぼる。
 同市保健医療部の新井厚美地域医療課長は「診察を我慢するなど診療控えもあるかもしれない。ただ、目的だった不要不急な救急車の要請が減って、本来の救急体制の充実が図られ一歩前進している。ただ、まだ知らない市民も多いと思うので、さらに周知に力を入れていく」と話している。
 同市では、市内の医療機関の窓口に同診療所を案内するチラシを置いているほか、市内各駅の広報紙を配布する広報ボックスの中にもチラシを入れるなどして、PRに努めているが、知らない人も多いようだ。「まず、かかりつけ医を持ってもらい、急病時に気軽に利用してほしい」と市は呼びかけている。
 なお、同市が02年に開設した小児夜間急患診療所は年間5000人(1日平均13・6人)を超える患者が訪れ、365日夜間診療所を行っている貴重な医療機関となっている。こちらも越谷市医師会に診察を委託。委託料は年間約6200万円。
 景気悪化による「診療控え」も背景にあると見られるが、早期発見早期治療は市民の健康への第一歩。これから寒い冬を迎え、同診療所の患者が増える要素はあるものの、改修工事費にも約6000万円以上をかけた公共施設。PRにさらに力を入れてほしい。
 (安部 匡一)

 越谷市成人夜間急患診療所
 内科、急患対応。診療時間は午後8時〜11時(受け付けは午後7時30分〜10時30分)。住所は越谷市東越谷10の81(市立病院前)。駐車場あり。問い合わせは同診療所TL960・1000。
>戻る