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職員の意識啓発が狙い・防災力強化プロジェクト

2012.9.17 (三郷市)
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 各自治体では、昨年の東日本大震災に伴いこれまで作成した「地域防災計画」の見直しが進められている。その中で、三郷市は、東日本大震災を教訓に近い将来発生が予想される「首都直下型地震」に備えて、組織的に迅速に対応するため「市防災力強化プロジェクト」を立ち上げた。市の現在の防災力の実態を把握し、職員の防災意識の醸成はじめ今後の取り組むべき課題や整備すべきことを優先順位としてまとめ、今年度から4年間をかけて防災力アップを図る。

 プロジェクト立ち上げには、東日本大震災での教訓が生かされる。三郷市では東京電力の福島第1原発事故で、相互防災協定を結ぶ福島県広野町の避難住民を受け入れ、瑞沼市民センターに避難所を設置し運営した。市職員が3交代で24時間配置された。市企画総務部安全推進課によると「救援物資の整理、受け入れに想像以上の労力を要すること、入浴など衛生管理は真っ先に取り組むべきこと、洗濯物の干し場所や着替える場所など女性の視点が必要なことなどを実感した」という。さらに、「大震災時、帰宅困難者となった市民も多かったことから、災害発生時間帯によっては、自主防災組織も機能できない恐れもある。体の不自由な高齢者や障害者などの要援護者の保護も課題となる」という。
 市では今年1月に、全職員908人に昨年の東日本大震災発生直後の行動などについてアンケート(回答率92%)を実施し、課題をあぶりだした。その結果を見ると、職員の参集状況では、震災発生時に休暇中、公務で庁外に外出あるいは出張先にいた職員193人のうち約54%が参集していなかった。「家族などの個人的事情」が42・6%、「参集手段がなかった」28・7%が多い理由だったが、「所属長からの参集の連絡がない」「参集の必要を知らなかった」「参集基準に達していないと思った」など2割強が参集する必要性を認識していなかったことが浮き彫りとなった。職員個人が考えている課題認識では、「組織の体制・運用のありかた」14・6%、「通信手段・連絡方法」11・4%、「地域防災計画・マニュアルの見直し」10・4%、「教育・訓練」「情報収集・伝達」など5割強がソフト面での課題を指摘している。また、今後取り組むべき事項(複数回答)としては、「地震発生直後にとるべき行動の基本ルールの確立とその周知徹底」、「適切な対応をとれるようにするための教育や訓練」、「地震発生後、実施すべき業務の手順等を示したマニュアルの整備」などがいずれも5割以上を越えた。
 これにより、今後取り組むべき3つの柱@災害対応マニュアルの整備A教育・訓練の企画実施B体制の見直しと地域防災計画等の充実化、を打ち出した。マニュアル整備は、災害対策本部の設置・運営、避難所開設・運営、救援物資などの提供など複数の部門が関与する業務など、緊急性や総合性、組織横断性で優先度を実施し4年間で40本程度作成する。教育・訓練では、職員初動マニュアルの周知(今年4月に実施済み)、参集の必要性の理解や災害対応上の役割に対する理解など。体制の見直しでは、体制の枠組みや運用の仕組みを見直して、特に通信手段の確保、帰宅困難者対策、避難所の開設・運営に力を入れる。
 プロジェクトの組織は、防災力強化本部(部長・理事級で構成)の下に、防災力検討部会(課長級)を置き、係長級で構成する、行動マニュアル作成及び習熟部会、地域防災計画改定部会、研修・訓練部会、さらに実際の作業をすすめる機関として、行動マニュアル作成、通信途絶対策、帰宅困難者対策、避難所開設運営といったワーキンググループを置き、ボランティアや施設管理の観点から社会福祉協議会、文化振興公社の職員もメンバーに加えた。
 同安全推進課・橋均課長は「台風や洪水対策などでかつては職員の災害時の参集経験は多かったが、近年は整備がすすみそうした機会が少なくなった。市内在住者の職員の割合も低くなる傾向で、職員参集訓練もここ数年実施していない、などで市の防災力は落ちている。職員の防災意識を高めるために、全庁的な標準マニュアルが必要になっている。シミュレーション訓練をして、常に改良し完成形を作るのではなく、時代や組織に即したものにするために常に見直し修正していきたい」という。
 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではないが、首都圏では関東大震災以来、大規模災害に見舞われた経験がないこともあり、危機意識が希薄になっていたのも事実。昨年の東日本大震災で改めて危機意識が多くの人に芽生えた。風化しないうちに、多くの教訓を糧に準備を整えておくことが大切だ。

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