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若いお母さんの積極参加を・文教大の「あいのみ文庫」

2012.9.3 (越谷市)
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 子どもと本をつなぐ活動を地道に30年。越谷市文教大学図書館(南荻島)の一角を拠点に、地域の子どもたちに絵本や児童書の読み聞かせを続ける市民ボランティア団体「あいのみ文庫」(塩谷智紗子代表)が創立30周年を迎えた。発足当時、幼児を抱え20代から30代だったスタッフが還暦を迎え、当時、通っていた子どもが親になり、また子どもを通わせるなど二代に渡り文庫に通うなど、地道で歴史ある地域文庫だ。課題は運営するスタッフが還暦を超え、高齢化していること。同文庫では「大学の中にあるということで学生にも参加してもらっている。今後は若いお母さんたちにも運営に興味を持ってもらえるようPRしていきたい」と意欲的だ。

 「あいのみ文庫」は毎週木曜日の午後に開かれている。絵本や児童書の貸し出しや「おはなし会」、「読み聞かせ」、「わらべうた」をはじめ、学生による「英語のおはなし会」や年3回の「おたのしみ会」などさまざまな本に関する事業を展開している。
 蔵書は大学や市に購入してもらったものを含めて、5000冊を超えている。現在のスタッフはメンバー6人のほか、同大学生20人がボランティアに加わっている。
 同文庫は1982年に設立された。廃園になった幼稚園に残っていた絵本や児童書を使い、当初は大学職員が、幼児から中学生までを対象に読み聞かせをしたり、本を地域住民に貸し出ししていた。しかし、大学側の負担も大きく、2年後に主婦の塩谷さん(61)が中心となり、大学から活動を引き継いだ。
 当時、塩谷さんも小さな子どもを抱え、利用者の一人だったが、もともと本が好きだったのと、市内には子どもが気軽に通える図書館が少ないことから、市内各地に「地域文庫」や「家庭文庫」を設立しようという団体の連絡役をしていた。それがきっかけで、同文庫の運営に携わることになった。
 塩谷さんが運営してから、活動の幅が広がった。市内の公立保育所に出向いて「出前読み聞かせ」や子育て支援のために、母親になる女性を対象に絵本教室を開催するようになった。長年の活動が評価され、2006年度に「子どもの読書活動優秀実践団体」として文部科学大臣賞を受賞した。
 毎週木曜日の午後2時になると、真夏でも子どもたちの元気な声が響き渡る。赤ちゃんを連れたお母さんから近所の小学生まで、毎回30人以上は訪れる。
 同大学OBで3歳と1歳の子どもを連れて訪れた柏千絵さん(32)は「ほぼ毎週訪れています。子どもも本が好きになるし、家でも読書の習慣がつきました。スタッフの方も母親のようで、ちょっとした子育て相談もできるので、助かります」と笑顔で話していた。ボランティアスタッフとして活動する井原美穂さん(21)(教育学部4年)は「保育士を目指しています。読み聞かせを手伝うなどして、実際に幼い子どもたちとふれあうことで、勉強になります」と学生たちからも評判がいい。
 塩谷さんは「発足当時、利用者は小学生が中心でしたが、だんだん低年齢化して、今では幼児の利用者が中心になっています。小学生は塾などで忙しいのでしょうか。少し気になります。子どもも親もとても生きにくい時代。大人がもっと本を読んで心が豊かにならないと子どもにも伝わりません。本を読む楽しさを味わった子どもは言葉も豊かになり、想像力も発達します。私たちは本を通して少しでも豊かな心になる後押しができれば」と話している。
 地域に開かれた大学図書館が、市民の力で「地域文庫」として、大きく育った功績は大きい。ただボランティア活動では告知に限界もある。今後、スタッフの若返りを図るには学生や大学OBの力が欠かせない。貴重な「子ども図書館」としての存在意義は大きい。
  (安部 匡一)
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