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中途視覚障害者専門相談窓口設置を・NPO法人ひかりの森が呼びかける

2012.5.21 (越谷市)
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 人生の途中で病気やけがで失明や弱視になってしまう中途視覚障害者が増えている。このため、越谷市内のNPO法人・視覚障がい者支援協会ひかりの森(松田和子理事長)では、中途視覚障害者のための専門窓口を行政に設けて欲しいと、越谷市に呼びかけている。突然光を失った中途視覚障害者は、精神的なショックが大きく、これまでの生活をどれだけ維持できるかが大きな課題で、仕事を続けるのも困難。移動や目が見えないことによる情報入手も難しく、生活が不自由になり、閉じこもりになる人も多いという。ひかりの森では「障害者手帳を交付する市役所窓口で、中途視覚障害者のための専用相談窓口があれば、生きる気力を失った方たちへ情報提供ができる」としている。

 中途視覚障害者になるのは緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症が3大原因とされ、これに網膜はく離、白内障や事故が加わり、誰もが失明や弱視になる可能性があるのが現実だ。越谷市福祉部障害福祉課によると、視覚障害者数(障害者手帳交付者数)は2007年が492人だったのが、2011年には595人にまで増えている。「病気などで中途失明などでの視覚障害による身体障害者手帳の所持者は年々増加している」(同市障害福祉課)のが現状だ。
 ひかりの森は2005年に、社会で中途視覚障害者が孤立しないで、生きていくためのサポートをしようと「デイケア」事業からスタート。2010年にはNPO法人化して、「歩行訓練」や「調理実習などの日常生活訓練」「音声パソコン講習」「点字講習」などの活動プログラムを毎日実施し、現在市内外から31人(今年4月末現在)が利用登録し、訓練などを行っている。
 ひかりの森の母体となったのが、網膜色素変性症や緑内障などの患者とその家族らでつくる「ロービジョン友の会アリス」だ。松田理事長らが呼びかけ2001年に発足。視覚障害者の対する正しい理解をしてもらおうと、各種イベントを開催し、現在もボランティアグループとして随時活動している。
 松田理事長(68)も生まれながらの網膜色素変性症で、以前は視力があったが、49歳のときに陥没した道路に転落し頭を打ってから視力を失った。「それまで視力1・5あったのが急に視力を失い、大変ショックでした。何もする気がなく、家の閉じこもっていました」と松田理事長。そんな松田理事長の様子を知った近所の朗読ボランティアをしている女性が自宅を訪ねてきた。
 自宅で絵本や小説の朗読を聞いているうちに、「本の言葉の力で元気になった」。そのボランティアの女性の期待に応えようと、国立障害者リハビリセンター(所沢市)に通い、歩行訓練などを受け、外出できるようになった。そして「もっと困っている人がたくさんいるはず。(視覚障害者の)当事者でなければ分からないことがたくさんある。少しでも支援できたら」と「アリス」を立ち上げ、そして「ひかりの森」を発足させた。
 松田理事長は「一家の大黒柱が病気で失明したりすると、仕事も続けられなくなり、精神的なショックで閉じこもるようになってしまう。音声ソフトを使ったパソコンを使えるようになれば、仕事もできるようになるし、生きる元気もわいてくる。市には一刻も早く、相談窓口を設けてほしい」と呼びかける。
 これに対し、越谷市の鈴木俊昭福祉部長は「視覚障害のある方への支援として様々な事業展開している地域活動支援センター・ひかりの森が、そのような方の精神的な支えとなり、大きな役割を担っていることに感謝すると共に、更なる活動に期待しています。今後の相談支援事業の課題として、障害種別ことにきめ細かな対応が理想ではありますが、現在ある社会資源を有効活用しながら支援をしていきたい」と話している。
 越谷市では在宅の障害者に対し、全般的なサービスの利用援助、相談を行う「相談支援事業」(TEL・FAX970・9393)を実施しているが、きめ細かさに課題を残している。今後も病気による中途視覚障害者が増える見込みで、医療機関での情報提供も含めて、行政も幅広い相談窓口の設置は急務だろう。
   (安部 匡一)
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