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脱「草加せんべい」が課題・観光事業官民一体で

2012.5.1 (草加市)
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 草加市は今年度から、魅力あるまちづくり、市のブランド力向上を目的に観光事業に力を入れるため、「文化観光課」を新設した。市民、事業者、市民団体と協働・連携し、観光資源の創出などに本腰を入れて取り組み始めた。草加といえば、せんべい、松並木などが知られてはいるが、有名観光地のような国宝などの歴史遺産や温泉などがない草加市はとって、今月22日に開業する東京スカイツリーを呼び水にした観光客を呼びこむための仕掛け作りやPR方法の工夫、何度も草加に訪れてもらうリピーター確保などの課題が浮き彫りとなっている。
 草加市では昨年3月、「人々が訪れる、にぎわいと活力ある自立したまち草加の創造」をテーマにした「観光基本計画」を策定した。基本方針やアクションプランなどを明確化し、実施期間を2015年度までの5年間に設定した。観光による、地域住民のふるさと意識の高揚、地域コミュニティの促進、地域文化の向上、産業活性化などがねらいだ。今年3月に開催され、約3万5000人でにぎわった、小松菜やせんべい、クワイなど地元食材を使ったご当地グルメによる「草加グルメフェスタ」など、新たな観光イベントもすでに実行に移されている。今年秋には、県主催の埼玉B級グルメ王決定戦の開催地にも内定した。
 同基本計画には、3年以内に実施する、アクションプランには、「松並木をBig Bonsai Roadとして世界に発信」「ものづくり体験施設の創出」「親善大使によって草加の魅力をアピール」「フイルムコミッションで知名度アップ」「観光資源コンテストで新たな資源を創出」「バックミュージックで心地よい草加を演出」「観光マップで街歩きを支援」などを盛り込んだ。一方で、観光の楽しみ方もライフスタイルや余暇の過ごし方に合わせ、地域の歴史、産業、文化、スポーツ、環境、グルメなど多様化している現在、これらを取り入れた観光資源開発が草加にも求められている。
 さきごろ、江戸時代初期から残る草加の名所「草加松原」の本数がスカイツリーの高さと同じ「634」本になった。東武伊勢崎線が「東武スカイツリーライン」の愛称に変わったことで、623本だった松並木に植樹を市長が発案し、草加商工会議所など3団体がクロマツ11本を寄贈したもの。この機にまちのシンボルである草加松原を「国の名勝史跡に申請を」との声もあがっている。田中市長は「市内駅の発車ベルを草加のメロディーにしてほしい」と申し入れた。「とうきょうスカイツリー駅から約20分の立地を生かし、スカイツリー見物の観光客を草加にどのように呼び込むか、東武鉄道の協力も受けながら、草加に来たくなるような仕掛けづくりをしたい。スカイツリーを見た後は、パインツリー(松)にもきてほしい」(市文化観光課)という。

 市民団体も、観光資源開発に乗り出している。まちづくり市民団体の『今様・草加宿』市民推進会議(岡野喜一郎会長)では、3月に市民から募集した「草加のお宝52」を発表した。これをもとに郷土カルタを作成し、草加の誇るべき観光資源をPRしていく。草加駅東口の旧日光道中沿いには、「草加宿本陣跡石碑」2基も市民の浄財で建立した。旧道では、観光案内と休憩所を兼ねた、古民家を活用した「草加宿神明庵」も運営協議会を設立し運営。岡野会長(81)は「歴史的に草加の中心である、旧道地区と草加松原地区が元気になることが、草加全体の元気につながる。古いものに新しいものを加えながら、みなさんでアイデアを出し合いにぎわいのあるまちにしていければ」と期待する。
 市観光協会(糸井守会長)では、草加さわやかさんコンテスト、朝顔市、草加の四季写真コンクール、草加さくらプロジェクトなどを主催、観光事業の中心を担ってきたが、糸井会長(79)は「市の観光基本計画に伴い、市とのより一層の連携で事業を進めるため、協会内に昨年12月に推進体制検討委員会も立ち上げた。観光資源開発や協会の法人化なども視野に入れ検討していく」という。
 このほか、草加商工会議所では、三郷、八潮市などと連携した小松菜グルメスタンプラリーや観光ルート作成なども行っている。獨協大学、草加商工会議所との産学行連携による観光資源開発も進めている。市民によるボランティアガイド「草加宿案内人の会」も数年前に発足し、草加駅高架下の「物産・観光情報センター」を拠点活動中だ。
 市文化観光課では、行政の各分野との連携、事業者、市民団体などとの協働で今後の観光事業を推進していくが、課題も多いようだ。市民アンケート調査などから、「地場産業などの観光資源が生かされていない」、「参加体験型の観光資源が乏しい」、「新たな観光資源生み出す仕組みが確立されていない」、「情報発信機能が確立されていない」などだ。
 市文化観光課・本田秀康課長は「まちの資源と他のグルメやイベントを足すことで相乗効果を高めて草加の魅力をアップし、四季を通じて何度でも足を運びたくなるリーピーターの確保が重要。各団体との協働で驚きや発見のあるアミューズメント性などの付加価値をつけていきたい。宿場の伝統である、おもてなしの心と市民の情熱は加味した草加らしい観光事業で話題性のある仕掛けを作り、さまざまな形で情報発信していきたい」という。
 草加の代名詞といえば草加せんべい、松並木、奥の細道・松尾芭蕉といったところだが、知られていない観光資源も含めどう生かしどのようにアピールしていくのか注目される。

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