写ったぁ

「家読」定着が今後の課題・「読書のまち」三郷

2012.4.2 (三郷市)
記事の写真
 三郷市では、第4次総合計画の中に日本一の「読書のまち三郷」づくりを位置づけ、さまざまな活動に取り組んでいる。市教育委員会では、ゲームやインターネットの普及などによる子どもたちの読書離れに歯止めをかけようと、「子ども読書活動推進計画」(計画年度2011〜16)を策定し、学校図書館・市立図書館の充実や学校・図書館・地域・行政の連携による協働事業など読書環境整備に取り組み、その効果は順調に現れている。しかし、一方で中学生は部活動などが忙しくなり、読書量はなかなか増えない1面もあるようだ。市教委指導課では、今後の課題は「読書量だけではなく、子どもたち一人ひとりに合ったニーズをとらえた質の向上が必要」という。

  「読書のまち三郷」づくりのきっかけは、市教委が申請した国立教育政策研究所の「生きる力を育む読書活動」事業に2006〜08年度の3年間、地域指定されたこと。市教委では、市内の4小学校を読書推進協力校に指定し、学校図書館整備、授業前の15分間を利用した朝読書の推進、近隣図書館との連携、読書ボランティアによる読み聞かせ活動などを実施した。その結果、06年度に前谷小、10年度に彦郷小が「子どもの読書活動優秀実践校」として、また、早稲田図書館も09年度に「同優秀実践図書館」として文部科学大臣表彰を受けた。
 現在、読書活動推進協力校は市内全校に拡大指定し、08年度以前は10校程度だった司書教諭も全校に任命。さらに昨年度からは、全校に業務委託による学校司書を1校あたり週2回、1日6時間程度配置し、司書教諭と学校司書の連携により、子どもが本を手に取りたくなるような解説や展示、図書配架、授業の補助などに活用。保護者による読書ボランティアも読書相談や、読み聞かせなど、市立図書館は「朝読セット(30冊)」などを配本し支援している。その効果で、学校図書館の貸し出し冊数は年々増加、小学校は11万3000冊(2010年度4月〜2月)が17万6000冊(11年度同)に、中学校は1万冊(10年度同)が1万8000冊(11年度同)となった。「前年度同時期の比較で約7万1000冊、約1・6倍に増えた」(市教委指導課)という。
 司書教諭などで構成する、学校読書活動推進協議会では、各学校での取り組みを発表する「読書フェスティバル」を年1回開催し今年で5年目になる。感動したおすすめの本を友人や知人に紹介する「読書ゆうびんコンクール」、おすすめの百冊読破賞表彰なども子どもたちの読書意欲をかきたてる。今年度は、家族でふれあい読書する習慣を定着させていこうと、「家読」(うちどく=家庭読書の略、佐賀県伊万里市、茨城県大子町、青森県板柳市の3市が家読推進プロジェクトを展開中)に力を入れていく方針で、12月1日に「うちどく(家読)サミット」も三郷市で開催予定だ。
 市立図書館の統計(市立図書館・図書室7施設)では、12歳以下の利用者・貸し出し冊数は、2006年度では利用者1万9235人、貸し出し18万3030冊、08年度2万650人、20万7241冊、10年度は2万1997人、22万6001冊と若干の変動はあるものの増加傾向。これに対し、中学生の読書量減少を直接裏付けるものではないが、中学生(13〜15歳)だけを抽出したデータでは、06年度の利用者は4653人、貸し出し1万2893冊、08年度は3479人、9218冊、10年度は3094人、8253冊と落ち込み気味。
 市教委が行った子ども読書意識アンケート調査結果(2010年2月、小中学生1460人回答)からは、学年が上がるにつれ読書量が減り、中学2年では、本を読むのが「好き」「どちらかといえば好き」は約78%と高いのに、学校図書館や図書コーナーに「行かない」は68%を占める。その理由は、「ほかの遊びがしたい」に次いで「読みたい本がない」が多い。子どものニーズをどのようにとらえ、読書したくなる仕掛けをしていくか課題が浮き彫りとなった。市教委では、貸出冊数の増加率の高い学校の実践事例を広め、図書館を活用した授業実践の充実、話題性の高い本を友達同士で紹介し合うイベント開催など独自の施策も検討中だ。
 市教委・星健次郎指導課長は「表現力や感性を磨くツールとしての読書は、豊かな人間形成にもつながる。子どものころから良書に親しみ、瑞々しい感性や旺盛な好奇心を養成していくため、子ども読書活動を支えていきたい。家読は、親子の絆づくりにもつながる。三郷市独自の家読で、読書の質の向上、習慣化を図りたい」という。
(金子 貞雄)
>戻る