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調節池などの管理、県と市で協議中・越谷レイクタウン整備事業

2012.3.19 (越谷市)
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 洪水防止など治水対策を目的とする河川事業による調節池建設と土地区画整理事業による新市街地整備を一体的に行う「レイクタウン整備事業」が2013年度の終了に向け、事業が大詰めを迎えている。同事業の柱となる調節池につながる元荒川からの導水路が13年度完成に向け急ピッチで進んでいる。中川につながる排水路は06年度に完成している。大雨時など元荒川の水量増加を抑え、流域の浸水被害を軽減できる。しかし現在、完成後の調節池と水路の管理について県と越谷市で協議を進めているが、どちらが管理するか結論は出ていない。

 越谷レイクタウンは、既に2008年3月に「まちびらき」し、地区内にはJR武蔵野線の「越谷レイクタウン」駅が開業、日本最大のショッピングセンター・イオンレイクタウンが開店。毎週末には県内外からの買い物客でにぎわっている。このショッピングセンターに隣接しているのが調節池だ。
 調節池は、元荒川と中川の流域の洪水被害を軽減することを目的に整備された。洪水時に元荒川からの水の一部を調節池に一時的に貯め、洪水がおさまり、中川の水位が低くなったら、水を中川に流し、次の洪水に備える。調節池はふだんは水深1〜1・5bで洪水時は最大で水深5b(120万立方b=50bプール約800杯分)まで貯めることができる。ふだんも潮の満ち引きの水位変動を利用して、水が流れ、池の水質を維持する。
 レイクタウン整備事業は越谷市の東部、大成町と東町の一部225fを整備するもの。施行者はUR(都市機構)。計画人口は約2万2400人(約7000戸)。総事業費は約897億円のビッグプロジェクト。13年度末に換地処分を終え、事業が完了する予定だ。導水路・排水路整備は県の事業で約300億円(調節池整備の一部負担も含む)かける。
 導水路は10年度に着工し、シールド工法により地下を掘っている。施工する埼玉県越谷県土整備事務所によると、総延長860bのうち現在約30b掘り進んだという。排水路側は今月中に排水機(ポンプ)場が完成する。10年1月に、導水・排水路と調節池の管理を協議する「元荒川大相模調節池の帰属および管理等に関わる協議会」を県、越谷市、URの3者で設置し、ようやく協議をスタートした。
 県越谷県土整備事務所の横部太郎河川担当課長は「河川管理者は県になるが、調節池は公園のような利用形態になるため、越谷市に『占用』と呼ばれる管理者になってもらう方法もある。調節池と周辺の清掃などメンテナンス費用や人件費など管理コストがいくらかかるか分からないので、今後、市と協議を進めて(管理者を)決めていきたい」と話している。
 これに対し、越谷市の山口雄司都市計画課長は「河川は河川法の縛りがあり、市は管理者になれないが、県から占用許可をもらい、管理する方法がある。水辺の利用は既に行われているので、これまでの利用形態を維持しながら、市民に利用してもらえたら。管理についてはコストの問題があり、これから県と協議をして、決めていきたい」と話している。

 調節池が元荒川とつながった後には、管理施設の設置も必要だ。こちらも場所が未定だが、現地と県土事務所、市役所の3か所でカメラを使うなどして、モニターをしたい考えだが、職員の配置などについては未定だ。「安全のためには人が必要だが、導水路水門か調節池、排水路水門などさまざまな場所が考えられる。こちらも市との協議が必要」(横部課長)としている。
 水辺の利用は09年4月から、URの管理で始まっている。主にカヌーや小型ヨットのアクセスディンギーなどのウオータースポーツが中心だ。年間のべ830人を超える利用があり、今年2月末までに2265人(UR調べ)が利用した。調節池周辺では清掃活動も取り入れた環境イベントやロードレース大会なども開かれ、環境を生かしたイベントスペースにもなっている。拠点となる「水辺のまちづくり館」が調節池に隣接し情報発信基地となっている。
 UR埼玉東部開発事務所の斎藤博丈事業課長は「水辺でのヨットやカヌーをはじめ、レイクサイドウオークでのジョギングなど市内外の多くの方に利用してもらっている。憩いの場にもなっているので、これまでの利用形態を生かしながら、さらに多くの人に利用してもらえたら」と話している。同まちづくり館はURが管理しているが、事業完成後の14年度以降は撤退し、市に管理してもらう計画。
 URでは、これまで、ユスリカが大量発生したため、池にメダカを放流し、蚊の発生を抑えたほか、ビオトープを設置し、水辺の生態系を残すなど独自の取り組みもしている。
 水辺利用者の一人、NPO法人セイラビリティ越谷代表の久川雅大さん(65)は「水路が繋がれば、カヌーレースなど調節池を全面的に生かしたイベントにも企画してみたい。環境整備には利用者たちで清掃するなども必要。この環境をいつまでも保てるよう行政と市民が一体となった取り組みが必要だと思う」と今後を見据えていた。
 事業終了を間近にひかえ、レイクタウン地区にはこのほか、防犯のための交番設置なども急がれるなど別の課題もある。一大「観光地」ともなっているレイクタウンだが、シンボルの調節池の維持管理問題は地味だが大切な課題。来場した人から「また(レイクタウンに)来たい」と思わせるには、まだ水辺環境を生かしきれていない。家族連れなどが遊べるスペースを設けるなど、もう一工夫が必要だろう。
 (安部 匡一)
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