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5大学と連携し、まちづくり・家づくり具体的展開へ

2012.3.5 (八潮市)
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 八潮市では4年前から、50年、100年後を見据え地元の資源を生かした八潮らしいまちづくりを日本工業大学(宮代町)はじめ、5大学と連携してすすめ、官、民、学連携の新しいまちづくりのスタイルとして注目されている。学生たちが現況調査し、テーマごとにさまざまな資源活用やまちづくりのアイデアを提案。ユニークなものや実現不可能と思えるようなものまであるが、その中から絞られて新年度には、実際に5大学設計提案による、つくばエクスプレス八潮駅南口の駅前公園も2か年事業で整備されるなど、「絵に描いたまち」が本物に形作られ始めている。4年目となる今年は、今後の市民の家作りの基準となる「家づくりガイドライン」の検討も始まるが、課題も抱えている。

 2008年4月、商工会、財団法人生涯学習まちづくり財団、市民大学OB、市都市デザイン課で構成する8人のメンバーで「八潮街並みづくり100年運動実行委員会」(会長=齋藤勝商工会長)が発足。「行政主導ではない、市民が身近に感じるまちづくりとして、一般住宅をキーワードにしたまちづくりを提案したかった」(都市デザイン課)という。
 市都市デザイン課では、建築家の視点からアドバイスを受けようと日本工業大学・工学部建築学科の小川次郎教授に相談し、「家の設計デザイン差別化するのではなく、八潮ならではの住み方を含めてまちづくりの提案ができれば面白い」と快諾を得て小川教授が他の大学で教鞭をとる建築家に声をかけ、神奈川大学・曽我部昌史教授、茨城大学・寺内美紀子准教授、信州大学・坂牛卓信州教授(現在、東京理科大学)、東北工業大学・槻橋修准教授(現在、神戸大学)の5大学が集まった。
 初年度は、各大学のゼミの学生約50人が参加し、自転車で市内の現況調査を行い、「用水路が多い」「四方が川に囲まれている」「鉄塔が多く目立つ」など、まちの資源を掘り起こした。2年目は、「八潮らしい家づくり」として、住工混在地域や変形の路地、袋小路、堤防沿いなどのライフスタイルや周囲の環境を生かした住宅モデル7つが提案され、市民向けの家作りスクールも開催した。
 3年目には、つくばエクスプレス八潮駅南口の駅前公園(1・4f、2012・13年度で整備、14年4月オープン予定)の基本計画づくりに着手。商工会の提案や市民の意見を反映し、5大学連携でデザインを提案。八潮街並みづくり100年運動実行委員会と調整を図りながら、最終案を決定し実施設計された。テーマは「人々の余暇活動の拠点となるオープンガーデン」。平坦な地形にトイレなどによる丘をデザインし、駅前と連続した待ち合わせ広場、中央部には、仮設ステージや芝生が広がるイベント広場、水を感じるミスト(霧)を感じるエントランスの各広場、幼児用や健康など軽運動のできる遊具広場、などが盛り込まれた。
 11年度は「家づくりガイドライン」が、家族、地域、街並みのつながりをテーマを検討。今月11日に八條公民館で開催の「まちづくりフォーラム」で全体イメージが紹介され、市民からの意見を募集する予定だ。12年度には、水路や農地のビニールハウス、つくばエクスプレス高架下、公衆トイレなどの資源を活用した、「まちのツカイカタ」防災・水辺・コミュニティスポット編の研究が始まる。
 日本工業大学工学建築学科の小川次郎教授(45)は「八潮市は都心に近く水と緑が豊富なまち。郊外のまちでこんなまちはなかなかない。家のデザインで差別化するより、八潮ならではの住み方を提案した方が面白いと、思った。学生パワーに期待しまちの人とコミュニケーションをとりながら、住んでいる人も楽しいまちづくりを提案していきたい。学生にとっても机上の論理で専門バカにならずに、普通の人の感覚を持ちながら、現場で創り上げる実行力が養えるメリットがある」という。
 市都市デザイン部の松井輝一次長兼都市デザイン課長は「学生の視点は新鮮で、役所にも市民にとってもこんなことができるのかと今まで気がつかなかったことが多くあり、まちづくりの大きなヒントになっている。市職員の刺激にもつながっている」と期待する。
 市では、家づくりガイドラインをもとに実際に5大学が設計した第1号となるモデル住宅も建設したい考えで、市民から建築主を募集する予定。「気軽に家作りを楽しみ、その建築過程や住み心地が体験、公開できるものができれば面白い」(小川教授)という。しかし、実際に家の建築にあたり、市の助成制度などが白紙の状態で、各種優遇措置が設定できるかが今後の課題として残されている。

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