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「吉川美南」駅3月17日開業へ・区画整理進まない東口地区

2012.2.20 (吉川市)
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 来月開業するJR武蔵野線の吉川美南駅の西口は区画整理事業が進んでいるものの、東口はまったくの手付かずになっている。どうしてだろうか。また今後どうなるのだろうか。整備計画を追った。

 吉川市中曽根にJR武蔵野線の新駅「吉川美南(よしかわみなみ)」駅が3月17日のJR東日本のダイヤ改正に合わせて開業するが、同駅東口周辺は水田が広がる農地で街路整備を含め、周辺開発のメドがたっていない。農業を振興する調整区域のため、同市都市計画課では「市街地へ編入してもらえるよう県と協議を進めているが、周辺整備にいつ着手できるか分からない」とし、壁にぶつかっている。そのため、同市では開業に合わせて暫定的に駅前広場(3300平方b)と駐輪場、駐車場を整備(整備費7500万円)するが、駅周辺には民家もなく、まるで地方ローカル線の風景のようだ。
 同市の計画によると東口周辺の63fを市街化し土地区画整理事業を実施し、街路整備と宅地開発をしたい考え。同市の岡田弘好都市計画課主幹(51)は「駅の設置が決まった翌年の2008年から、県と市街化に向けた協議を始めている。吉川は優良な農地が広がり、農地確保のほうに重点が置かれているようだ。食糧需給率の低下の背景もあり、まだ(市街化へは)見込みが立たない」と困惑している。
 戸張胤茂市長は「市街化編入は駅の設置が条件となっており、来月の新駅開業を機に、63fが市街化整備できるようさらに協議を進める。自然エネルギーを生かしたエコタウンの開発など、吉川らしいまちづくりをしていく。早期に実現できるよう全力であたる」と決意を話している。農地から市街地への編入は国(農水省)を交えた「農林調整」に時間がかかり、課題になっている。隣の越谷市のレイクタウン整備でも農林調整に10年かかった経緯もある。
 新駅は吉川市が設置要望した「請願駅」だ。駅整備の約78億円のうち、吉川市が約50億円を負担した同市にとってビッグプロジェクトだ。市内の農業男性(51)は「駅ができれば便利にはなるだろうけど、すでに周辺の越谷レイクタウンや新三郷のららぽーとに人が流出していて、駅整備の効果はあるのだろうか」と疑問を投げかける。
 一方、反対側の西口では整備が進んでいる。まず、国鉄武蔵野線操車場跡地地区(28・8f)を鉄道・運輸機構が土地区画整理事業を実施。事業費120億円をかけて街路整備や水道、電気、ガスなどのライフライン整備を行い、一括売却する。今年8月に入札を行い、商業地域を含めた面整備を実施する。早ければ年内にも着手する。


 さらに、同跡地に隣接する82fは都市再生機構が土地区画整理事業を実施。すでに換地を終え、今年から本格的に宅地開発が始まる。計画人口は9200人(2400戸)で戸建住宅を中心に景観協定をつくり、宅地周辺に樹木を植えることや屋外広告物設置禁止など景観に配慮したまちにする計画だ。地区内にはすでに公園も整備され、付近住民の憩いの場になっている。
 これらの周辺整備の始まりは、1986年の吉川駅から新三郷駅にかけての当時の国鉄武蔵野操車場廃止までさかのぼる。当初、三郷市と吉川町(当時)の同操車場周辺の1000fを整備しようと巨大プロジェクト「マルチポート・シティ」からスタートした。両市町と国、県、国鉄清算事業団、住宅都市整備公団、東工大教授ら学識経験者らで、整備計画を作成。しかし、景気低迷などの影響を受け、徐々に整備計画面積が縮小していった。
 事業を現実的に進めようと、1998年に武蔵野操車場跡地及び周辺地域整備事業化検討会議(県、吉川市、三郷市、鉄道運輸機構、都市再生機構、JR東日本で構成)を発足。まず、新三郷駅のホーム上下線一体化(1999年)に取り組み、さらに2006年には新三郷駅周辺(51f)の造成に着手し、三井不動産を代表とするコンソーシアムへ土地を売却し、2008年に開発工事が完了し、今では「ららぽーと新三郷」としてにぎわっている。同会議は2009年に解散した。
 後回しされた感のある吉川市側の整備は2008年度に操車場跡地地区の都市計画決定・事業認可され、東口の周辺地域についても協議を開始した。同市の中村英治都市計画課長(56)は「新駅開業でようやく周辺整備が本格化しそう。西口については順調に進んでおり、特に住宅開発は駅から近いこともあり、後押しされそうだ」と期待している。
 西口周辺の武蔵野操車場跡地の一括売却によって今後の駅の顔が決まる。商業施設も計画されるが、大型商業施設(越谷市と三郷市)にはさまれた吉川市にとって、個性あるものができないと集客は見込めない。新駅開業の効果は東口の整備とともに、まだ道半ばといったところだろう。乱開発防止のためにも市街化は急がれるが、東西であまりにアンバランスなまちにならないよう市には力を尽くしてほしい。
 (安部 匡一)
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