写ったぁ

希少植物「ミズワラビ」自生地・グラウンドG場に整備へ

2012.2.6 (草加市)
記事の写真
 2010年11月に、草加市金明町の水田で市民環境団体・綾瀬川自然観察同好会(河野省子会長・会員25人)が発見した、埼玉県レッドデータリストに掲載されている、希少な植物「ミズワラビ」(2005年版は絶滅危惧種TB類、11年版は準絶滅危惧種)。このミズワラビの自生地が今、市の施策で来年度、公設グラウンドゴルフ場として整備される方針が決まり存続の危機に瀕している。環境団体では、整備の中止や環境保全を望んでいる。
 グラウンドゴルフ場は、田中和明市長の選挙公約に盛り込まれていたもので市内4か所に造る計画。担当の市文化・スポーツ振興課では、いくつかの候補地を探し交渉してきたが、固定資産税の減免措置などの条件で所有者の了解を得て、12月に10年間の無償貸借契約を結んだ。水田は、市の都市計画道路・新田駅前旭町線用地(約1000平方b)と接しており、市ではこの用地も含め計約4000平方bを公設グラウンドゴルフ場として一体整備、埋め立てしトイレやベンチなど設置する計画。
 ミズワラビは、新潟、関東以南の農薬を使わない水田などで自生するホウライシダ科の1年草の水草。綾瀬川自然観察同好会の小林春記事務局長(74)は「ミズワラビの自生地は、市内では十数年前に柿木町の水田での報告例があるだけ。昨年もこの水田で確認できた。ミズワラビが自生できるということは、人間にとっても良好な環境であるということ。水田や屋敷林などが失われつつある今、貴重な身近な自然環境を残してほしい。市にはミズワラビの自生地として報告ずみで、わかっていながらこうした開発をすすめるのは理解できない」と訴える。
 この訴えに市環境課と文化・スポーツ振興課では、12月に綾瀬川観察同好会、生態系保護協会南埼葛支部(加納正行支部長)らを交え、現地を視察。協議、調整した結果、門井秀夫環境課長は「環境団体の意向を汲み、ミズワラビが確認されている部分は1部を除き、埋め立てなどの工事をせずに、そのまま手をつけずに、ミズワラビが出てくるよう今後の環境の変化を見守りたい。周囲の環境保全については、民有地のため難しく、ナショナルトラスト方式(団体や自治体が土地を買い上げ、自然環境を保護すること)も現時点ではできない」という。
 一方、ミズワラビの県への報告例は近年増加している。ミズワラビにくわしい県立自然の博物館(長瀞町)・自然担当の植田雅浩担当課長は「除草剤や農薬の規制が厳しくなったことで、近年各地で報告例が増え、田んぼのあぜ道など多く確認されている。ミズワラビは湿気が多いことが必要で、埋め立てなどで乾燥したり、環境条件が変わると、生えなくなる恐れは十分にある」という。
 同観察同好会・小林事務局長は「整備の撤回は無理かもしれないが、市域全体の自然保護の目を、これをきっかけに多くの市民に向けてもらいたい」と問題提起していく予定だ。

>戻る