Backnumber: 2006年 2007年
とーよみの目

厚いカベ個人情報保護法・要援護者支援リスト

2007.9.17(草加市)
とーよみの目写真
災害時を想定した救助訓練(昨年の草加市防災訓練から)
  阪神淡路大震災や近年の新潟中越地震などの教訓から、災害時に地域に住む一人暮らしの高齢者や障害者の安否を確認するにはどうしたらよいか。国をはじめ各自治体でも「災害時要援護者支援リスト」作成の動きが始まった。しかし、個人情報保護法が壁となり、容易にリスト作成が進まない実態もあるようだ。
 そんな中、草加市民生委員・児童委員協議会(永井洋子会長)が自主活動として、7月からリスト作成に向けた調査活動を展開。12月には完成する見込みだ。
 各民生委員が担当地区内の要援護者世帯の実数を把握し、個々の支援名簿を作成することが目的。要援護者を把握しているのは現在、個人情報の守秘義務がある同委員などの一部に限られるという事情がある。
 草加市福祉課の杉山新一課長は「今の現状では、民生委員の負担は大きい。災害時にスムーズに活動できる保証はない。市としても把握し情報発信できる体制づくりの必要性を感じていた」という。市では、同協議会の協力要請を受け、管理する介護保険や配食など公的サービス受給者の情報を市個人情報保護審議会の承認を得て提供。お互いの情報をミックスし情報共有することにした。


 各民生委員が独自調査で把握している内容と照合しながら、受け持ち地区内の対象世帯を訪問、聞き取り方式で行った。年齢や性別だけではなく、血液型、持病など身体状況、避難場所、緊急連絡先なども書き込み、災害時の公開承諾を得た。個人情報流出の懸念から拒否されたケースも数十件あったが、リスト掲載で「安心できる」という声もあった。
 今回は、重度身障児・者と高齢者(一人暮らし、高齢者世帯、ねたきり高齢者家庭)を調査。約1000人に見込みだったが、実際には2倍近い数字になりそうだという。リストは個人情報保護法を遵守し、市役所、市危機管理室、消防本部、同委員会事務局のある草加市社会福祉協議会の4か所で保管する。ふだんは公開せず、災害発生時に各機関を通じ地域に一斉に情報を公開する方針。
 民生・児童委員協議会の永井洋子会長は「今後は、要支援者の範囲をどこまで広げるか、情報更新をどのようにしていくかが課題。個人情報保護の観点から事前に地域にリストを提供できないジレンマはある」という。
 先月21日、新潟県小千谷市民生委員児童委員協議会を招いた研修会では、ふだんから町会・自治会との連携を蜜にする必要性、災害時の連絡網確立、地域の自主防災組織との連携などの課題が浮き彫りとなった。リストを民生員の活動とどのようにリンクさせて有効に使うか期待される。
  
(金子 貞雄)
 
災害時要援護者支援リスト 地震や風水害などの発生時、一人暮らしの高齢者やねたきりの高齢者、車イスの身障者など自力では避難が難しく第三者の支援が必要な人の氏名、住所、身体状況(持病等)など記載した台帳。内閣府は防災基本計画に要援護者対策の必要性を明記、2005年の指針に基づき、市区町村にリスト作成を求めている。埼玉県内で現在、リスト作成中または今後予定しているのは県内70市町村中さいたま、川口、久喜市など19市町村のみ。
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