Backnumber: 2006年 2007年
とーよみの目

普及進まない火災警報器・設置義務化だが、PR不足

2007.9.11(越谷市)
とーよみの目写真
越谷市婦人防火クラブ連合会の小林会長宅では昨年に火災警報器を設置した
 消防法の改正(04年)で住宅に火災警報器の設置が義務付けられた。新築住宅は06年6月から、既存住宅は来年6月から義務化されるが、一般市民には周知されておらず、多くの家庭で設置されていないのが現状。越谷市消防本部でも昨年から市民まつりや産業フェスタなどのイベントで広報するが効果はいまひとつ。同本部では「(火災警報器が設置されているのは)市内全家庭の一割にも満たないのではないか」としており、今後どう効果的な広報活動するかにかかっている。
 住宅火災の死者の約7割は「逃げ遅れ」とされ、さらに死者の半数以上は65歳以上の高齢者だという。そこで、寝室などに火災警報器を設置して、火災による死者を減らそうと、法改正し、設置を義務付けた。ただ罰則はない。住宅用火災警報器は火災で発生する煙や熱を感知し、音声や警報音で火災の発生を知らせるもの。感知部分と警報部分が一体となっていて、部屋の天井や壁に設置する。
 越谷市では05年12月に市火災予防条例を改正し、設置に向けたPRを開始した。同消防本部によると06年中にあった建物火災73件のうち2人が焼死。05年には80件の建物火災で10人が焼死した。05年の3人は自殺だったが、そのほかは火事に気づくのが遅れ、逃げ遅れて死亡した。
 同本部の大野實消防長は「イベントや防災訓練などで欠かさず、火災警報器の設置を呼びかけているが、購入や設置には至っていないようだ。全国で設置して逃げ遅れずにすんだという例がいくつも報告されており、多くの方に設置してもらいたい」というが、PR不足は否めない。加えて、警報器の価格が1個4000円から6000円と高価なのも、買い控えをする要因ともなっている。

 同本部の松本一彦副参事は「自治会で回覧板を回して、集団購入を促すなどもしているが反応はいまいち。消防署内でも実物を展示しているが、販売をあっせんすることもできないので、市民が直接業者から購入するか、ホームセンターなどで購入するしかない」と話す。  越谷市では、65歳以上の在宅で寝たきりやひとり暮らしの市民を対象に、「日常生活用具の給付」として、火災警報器や電磁調理器などの給付をしていりが、こちらも年間1件程度の申し込みがある程度だ。費用の一部負担(生活保護や非課税世帯を除く)があるため、申し込み件数は伸びない。
 市内大里に住む、主婦の小林寿美子さん(53)は越谷市婦人防火クラブ連絡協議会の会長を務める。昨年、火災警報器を購入し、自宅に設置した。小林さんは「まだ、警報器の世話にはなっていませんが、寝室にあるため、安心して寝ることができます。近所にも呼びかけています。このままではきっと普及しないでしょう。市などがモニター地区を設けてモデル的に進めるなどしないと普及しないのでは」という。
 婦人防火クラブは火災予防を目的に主婦らで結成されたクラブで市内45クラブ1460人が所属している。先月30日にも同本部で研修会を開き、警報器の必要性や普及について学んだ。小林さんは「私たちクラブ員たちが率先して設置していかなくては」と今後も女性を中心にPRしていく。
 いっこうに普及しない火災警報器。新築住宅は建築確認があるため、もれなく設置されているが、問題は既存の住宅だ。設置の義務化を知らない市民も多数いると見られ、行政や消防本部はPRに本腰をいれなければならないだろう。罰則もないため、実際にどこまで普及するかは疑問だが、行政は市民の命を守る責務がある。モニター制度を導入するなどして、真剣に取り組むことを期待したい。
 (安部 匡一)
 住宅用火災警報機 煙を感知するものと熱を感知するものがあり、煙式は寝室、階段などに、熱式は台所に設置する。電池使うタイプが中心で電池寿命は約10年。価格は5000円前後。なお、スプリンクラー設備か自動火災報知設備が設置してある住宅は同警報器を設置しなくてもいい。
>戻る