(越谷市)
教える大人に問題・子ども放課後教室 南越谷小の場合
  居並ぶ子供たちを前に「さあ、一人ずつ、こちらにいる大学生のお兄さん、お姉さんにあいさつをしましょう」と呼びかける松原千廣さん。「脱いだ靴はそろえましょう」と機会を捕らえて語りかける。

「放課後子ども教室」に参加するボランティアの大学生と子どもたち
 
 ボランティアの主婦、文教や早稲田の大学生が集まり、子供たちの相手をする。外では父親たちがソフトボールを行い、そこに子供たちをまきこんで親子の交流を図る。「ソフトボールをしているお父さん方とお話をしてみましょう」とコミュニケーション作りを働きかける。
 南越谷の公民館と隣接する小学校の運動場で行なわれた南越谷教室の風景。越谷市の放課後子ども教室の一つ。
 この教室は、国が始めた「放課後子ども教室推進事業」を受けて越谷市が実施しているもの。
 市が民間に呼びかけて、公共施設を活用し、ボランティアを募り、子供の安全な居場所作りを行なうとともに、体験活動、大人との交流も進めさせたいとするもの。
 現在、市内に11の教室を展開しており、新たに2つを開く予定。週1回の実施が多い。各教室30名くらい。
 「さらに広く展開して行きたい」と抱負を語る同市生涯学習課の福澤辰幸課長。「実体験を通して子供たちにコミュニケーション能力を培って欲しい」と言う。参加する子供の数は徐々に増えている。
 土曜日実施の南越谷教室でも、集まった子供たちは大いに走り回っているが、「学校以外の場所で集団で遊ぶのは、ここで週に1度だけ」という子供もいる。「ふだんは家でゲームをやっている子供が多いです」と松原さん。
 日常、子供たちにあいさつや人との交流を教えるのは大人だ。ところが、「大人が地域であいさつを交わすようになるには、まず、互いに顔見知りになることが前提です」と、前述のソフトボールを進める南越谷小学校PTAの竹内輝明会長。隣近所が以前からの顔見知りでない場合が多いとのこと。
 「母親たちはPTAや地域のサークル活動を通して知り合いになる機会があるが、父親たちの場合は難しい」と語る。大人たちの地域でのコミュニケーションも簡単には成り立たないようだ。
 松原さんは「子ども教室に協力してくれる人を募っています」と言う。参加する大人の数が足りないとのこと。場所は学校、公民館、公園など確保も可能だが、教室を増やして子供を集めるには人が必要だ。
 南越谷小の生徒約1.200人のうち、南越谷教室に参加しているのは約30人。運動場を提供した同小学校も、はじめは「焼け石に水」という印象をもったようだ。「しかし、始めなければ進まない」と松原さん。
 子供たちの集団でのマナー、ルールの学習。これを育てる大人たちの交流。昔は自然に行なわれていたことが、組織的な活動によって改めて作られなければならない。地域の新しいコミュニケーション作りの一環である。
 多くの大人がこうした催しに参加することが地域社会を作る下地になる。それが、ひいては子供のコミュニケーション能力を培うことになるのだろう。

 (加藤 誠一)