(越谷市)
廃校から2年、利用未定・「救急センターに」の声もあるが・・・ 市立看護専門学校の跡地
 05年3月に廃校となった越谷市立看護専門学校の跡地(東越谷・約一万平方メートル)の利用方法が廃校2年を経た現在、まだ決まっていない。

跡地利用が問題になっている越谷市立看護専門学校跡地
 
  利用方法に関する希望はいくつか出ている。
 昨年6月の市議会では「跡地を救急センターの専門病棟にできないか」(遠藤衛彦市議)という質問が出た。
 市立病院の24時間救急受け入れを望む声が多い中、実際には救急患者が市内、市外の病院をたらいまわしにされる状況を見ての質問だったらしい。
 一方、医師会からは「各病院連携の高度医療の施設は出来ないか」という声もあるとのこと。
 また、越谷市健康福祉部豊田正明次長は「地域医療に貢献できる場にしたい」と語る。いずれも医療機関として利用したいとという観点である。  ただし、救急病棟については「医師の確保の困難」(板川市長の答弁)から難しい模様。
 一方では、翌年から国が40歳から74歳までの全国民を対象とする生活習慣病の予防のための新たな健診(特定健診)を実施すると言う。高騰する医療費を抑制しようという試みだ。実施の担い手は市町村。  こういう事態を前にして越谷市には特定健診をにらんだ跡地利用を考える可能性はないのだろうか。
    特定検診に向けての状況を豊田次長に聞いてみた。  越谷市では既に国民健康保険加入者を対象に35歳からの健診を実施している。06年で対象者は約6万8千人。受診者約3万人(受診率49,8%)。「市民会館等も用いて実施しているが、人数が増えると駐車場のスペースなど、収容しきれない状況も生じるだろう」と言う。   特定健診が社会保険加入者(企業勤務者)等の配偶者も対象とするようになれば健診対象者は大いに増える。しかも、事後指導が加わるとなると、連絡、呼びかけ等の業務も加わる。国は実施初年度に60%の受信率を確保するよう指示している。
 「自治体からは健診のための施設が必要だという声も出るのではないか」(同次長)との観測も出る。
 ただし、実施に向けての国のモデル(ガイドライン)は、まだ出ていない。来年度から健診を具体的にどのように進めるのか。「この点がはっきり決まらないと実施の具体案がにつまらない」(同次長)ということになる。
 国の方針を現場である自治体が実施して行くのであるが、ガイドライン、今後の変更(いわゆるトーンダウンなど)の可能性など、予断を許さない状況がある。
 仮に健診施設建設に向かうとしても、どのような設備を、どこまで用意するか、安易に策定できない状況だ。  一方で救急病棟を求める市民の声があっても、国が財政の観点から生活習慣病予防措置(特定健診)を推し進めることによって、市民の要望とのズレが生まれ、自治体にも具体的な対応策がはっきり見えない状況が生じている。
 跡地利用の問題は、今後の討議に委ねられるが、特定健診をにらんだ検討も必要になるのではないか。この点からも国のガイドラインの提示が遅いのでは、という印象を受ける。
 財政の問題は確かに大きいが、国は財政だけに目をおおわれているのではないか。国民、市民の声との接点を求める幅の広い視野を期待する。
(加藤 誠一)

「越谷市立看護専門学校」75年開校。地域医療発展のために看護師を養成して来たが、民間の看護学校、県立大学などの設立により、使命を終えた形で05年廃校。  建物は、現在、部分的に研修会や実習に利用されている。
「生活習慣病予防のための健診」
 国の進める施策。実施するのは各市町村。
 08年より40歳から74歳を対象に健康診断と事後の生活指導が行政によって行なわれる。  少子高齢化と医療費の高騰が保険財政を圧迫している現状から、まず、医療費を抑制しようとするもの。  国は中高年の生活習慣病の予防を図ることによって約9兆円の医療費削減を考えている。
 実施については国のモデル(ガイドライン)が出される予定であるが、それが、まだ出ていない。