(越谷市)
患者減少なぜ・診療報酬見直しで控えた? 越谷市立病院
越谷市立病院(山本勉院長)では、2006年度の入院、外来患者数が前年の2005年度と比べて減少することが明らかになった。同病院では「平成17年度の患者数が多かったのと、負担増による診療控えもあるのでは」と分析している。開院30年を超えた地域の基幹病院だが、こうした患者数の減少は近隣の公立病院にもあてはまるという。しかし、減ったとはいえ、毎日多くの外来患者が訪れているのは変わらず、「待ち時間の解消」などには至っていないのが現状だ。

入院、外来とも患者数が減少している越谷市立病院
 
 同病院は1976年(昭和51年)に開院した。現在481床の総合病院。患者数は昨年4月から今年2月までの入院が13万277人。前年度は同じく2月までで13万5233人と5000人近く減った。外来も同じく今年2月までで27万6746人。同じく前年度は28万524人と3700人も減少した。昨年度月別に見ても毎月減少し入院だけみても1000人近く少ない月もあった。
 同病院の上信行事務部長は「04年度から05年度にかけては入院で600人、外来で2万人近く増えている。なぜ、昨年度に減ったかは現在、分析中。患者数は01年をピークに一度減り、05年に回復している。診療報酬の見直しなどが影響しているのかもしれない」という。
 新しい診療報酬制度に改定(05年)されたのを機に、同病院では入院患者の在院日数が減っている。05年度は平均入院日数が15・5日だったのが、06年度は14・9日に減った。ベッドの稼働率も84・4%から81・1%に落ちた。「治療計画でリハビリに早くに入ってもらい、2週間を目安に退院してもらっているようだ。稼働率は下がっているものの、入院単価は横ばい。新患の入院患者が増えているからではないか」(上部長)という。


 全体では患者数は減少しているが、近隣の医者不足などの影響で産科、小児科は患者が増えている。この傾向は今後も続きそうだ。ただ、経営的には救急などの不採算部門を抱えているため「赤字」になっている。昨年度と今年度とも市の一般会計から8億8000万円の繰り入れを行っている。
 同病院は地域の基幹病院。先月開催された病院運営審議会でもまず、救急医療体制の充実を第一目標に「重症患者を多く受け入れ、治療を集中して管理する」ことを今年度の目標に掲げた。さらに、思ったように進まない地域の医療機関との「病診連携」による「紹介患者」の受け入れの強化に力を入れる。「教育入院」と呼ばれる生活習慣病治療の入院もスタートし、新たな医療の方向を探る。
 課題はまだ山積している。「待ち時間の解消」については予約診療などのシステムを導入してはいるものの、十分に対応されておらず、診療科目によっては5時間も待たされるケースもある。地域医療機関との「病診連携」も計画通りには進まないのも理由の一つ。「研修医も含めた医師を増やすしか解決方法はないのだが、実際には簡単には増やせない」(上部長)。根本的な解決にはまだまだ時間がかかりそうだ。
 基幹病院には多くの重要な役割がある。救急医療の充実をはじめ不足しがちな産科医や小児科医の確保、さらに高齢化社会を迎え、生活習慣病の予防を含めた医療の充実などだ。多額の行政負担はやむを得ない面もあるが、効率の良い医療機関になるためにも地域の医院、診療所との病診連携がますます望まれる。
  
(安部 匡一)