(越谷市ほか)
増える住民税滞納者・前年所得課税が問題 収入減で後回しに
本年6月より国から地方への税源委譲により所得税額は減少するが、住民税額は増加する。住民税の比重が大きくなる。

市民税の相談窓口になっている越谷市役所納税課
 
滞納の大きな理由の一つとして前年度の所得を基礎に税額を決めるという課税の仕方が挙げられる。各市町の収税担当者もこれを認めている。  もちろん、滞納の理由は他にもある。「東京から移住してきた人が、都内に比べて環境整備が出来ていないのに、なぜ、同じように払わなければならないのか、と言うケース」(八潮市納税課担当者)、「借金返済、健康保険料、保育料等にお金がかかり、住民税が後回しになる」(三郷市収税課担当者)、「納税意識の欠如」(越谷市納税課担当者)などがあげられる。
 だが、共通しているのは「前の年まで高収入だった人が、その年になって収入が大幅に減ったという場合が大きな原因の一つ」(越谷市担当者)というケースだ。前記の八潮市でも団塊の世代の退職を迎えると、この種のケースが増えるのではないかと予想している。「滞納者の86%が経済的な理由。前年度に比べて経済状況のああ課した場合だけをあげると45%」(草加市納税課担当者)という声もある。
 経済状況の悪化した人が前年度の所得で課税されると、例えば以下のようになるのではないか。
 前年度に10万円納税していた人会社員が倒産により失業し、退職金もないというケース。所得はなくなり、就学中の子供がいる、配偶者は専業主婦、預金もほとんどない、入るお金は6ヶ月間の失業手当だけ。
 こういう状況でも前年度の所得に基づいて10万円が課税される。
 もちろん、こうした場合、相談を受けた市では措置を講じる。4期納入であるところを10回に分ける、猶予期間を設ける、などである。  しかし、その後も仕事が見つからず収入が得られない場合も多い。
 そこで「退職直後の年度の未払い分を長く引きずる人がいる」「過去の解決することが大きな課題」(越谷市担当者)「過去の未納を抱えて支払いが追いつかない場合も出てくる」(松伏町収税課担当者)ということになる。他の市の収税担当者もこういうケースが多いと話す。
 悪質な滞納者に対しては「差し押さえを含む強い措置を取る」(越谷市)のは当然であり、徴収の努力は見える。だが、一方では年度を越えて経済状態が悪化した人が滞納者の45%という数字(草加市)にも重みを感じる。徴収の努力だけでは解決しないようだ。
 所得税のように、その年の所得に課税する形にしないと住民税滞納を大幅に減らすことは出来ないのではないか。
 各市町の収税担当者の中にも課税の仕方を改めた方がよいと感じている向きがある。「直接、市民に接する立場で言えば、その年の所得に課税する方がよい」(三郷市担当者)、「事業所(企業)の手間は増えるし、確定申告の手間も生じるが、納税者の立場に立てば、その年の所得に課税する方が望ましい」(松伏町担当者)という声も出ている。収税担当者は地域別の税務協議会等で研修を行なっているが、中には、課税の仕方を改めた方がよい、という声もあるとのこと。  一方、地方の税制を扱う総務省では、国会の質問や政府の税制調査会からの声を受けて、その年の所得で課税額を決める方法を研究しているとのこと。
 ただし「現行の前年度所得の基づく課税が合理的であり、企業等の手間や負担も少ない」(総務省市町村税課担当者)という点は強調している。あくまでも研究段階であるとのこと。直接、住民と接する市町の担当者とは、やや、隔たりがあるようだ。
 市町の徴収の努力と共に、制度についての見直しも必要であろう。経済状態の悪化した納税者の立場に立つと、過去の所得に基づく課税額は重い。課税の方法の改定が、納税者にとっても、市町にとっても問題解決の大きな一助になるのではないか。

(加藤 誠一)