(越谷市)
増え続ける生活保護世帯・高齢者医療費も比例 1059世帯1449人
 越谷市で生活保護を受ける人が増えている。昨年12月末現在で1059世帯1449人が受けており、同市の全人口に占める保護率は0・45%にのぼっている。これは1996年に同市の被保護世帯は401世帯561人、保護率は0・19%に過ぎなかったのに、この10年で2倍を超えていることがわかった。  
 特に高齢者の受給が多く、通院や入院などにかかわる医療扶助(医療費)の費用が伸びている。昨年度の同市の生活保護費は26億2425万円(4分の3は国補助、4分の1を市が負担)にもなっていて、同市健康福祉部では「これから高齢化が本格化する。生活保護はまだ増えるだろう」と予測している。

生活保護の相談に訪れる人が後を絶たない社会福祉課窓口
   生活保護は、病気やけがなどで働けなくなったり、働き手が死亡し生活に困ったときに、国が最低限の生活を保障するとともに、自分で自分の暮らしを支えられるよう支援することを目的にした制度。生活保護法に基づいて行われている。戦後の1951年から始まった。保護は原則として、世帯を単位とし最低生活費といわれる住んでいる地域などをもとに国で決めた基準によって計算された1か月分の生活費を支給する仕組み。市役所や町役場等にある福祉窓口に申請し、ケースワーカーが訪問などの調査を経て、福祉事務所長が保護が必要かどうか判断する。
 越谷では1997年以降増え続けている。当時400世帯余りだったのが、99年には500世帯を超え、02年には保護人員が1000人に。そして昨年末にはついに1000世帯を超えてしまった。ここまで激増した原因について、同市の玉木一行健康福祉部長(福祉事務所長)は「高齢者が増えたのと、何らかの事情で、年金に加入していなかった人が65歳になり無年金のため生活に困窮し、保護の申請に来る人が増えている。自営業者などが加入する国民年金の未加入者が多く、働けなくなったときに無収入になるケースが多い」という。
 そして医療費の扶助が増えているのが特徴だ。生活保護を受けている人は国保などに加入できないため、「医療券」と呼ばれる証明書を市に発行してもらい、そのつど医療機関に行き診療してもらう。高齢者が多いため通院や入院することも多く、医療費はうなぎのぼりだ。昨年度は生活保護費全体の約半分の13億1956万円にものぼった。また、最近では30代、40代の人も精神疾患で働くことができず、生活保護を受けるケースも増えている。
 相談件数も増えている。昨年1年間で943件もの相談が寄せられ、そのうち265件の申請があった。「高齢者も元気であれば働いて収入を得られるような環境づくりが今後、大切になってくる。収入が得られる生活が長く続けば、生活保護の希望者は減っていくはず。しかし現実は厳しい」と玉木部長は分析する。
 今年4月から、新たに「リバース・モーゲージ」と呼ばれる融資制度がスタートする。生活保護世帯や生活困窮者に対し、地方自治体が窓口となり、不動産など財産を抵当に生活資金や医療費などを定期的あるいは一時的に融資し、死亡・転居などでその担保不動産を提供して、一括返済する制度。実際には社会福祉協議会が窓口になり、融資を行う計画。生活保護世帯を減らす目的もあるが、玉木部長は「実際に越谷での対象者は10件程度なのでは。根本的な救済策にはならないだろう」という。
 越谷市の人口31万8929人のうち65歳以上の高齢者は5万1479人(1月1日現在)と高齢化率は16・14%にものぼる。若いといわれた越谷も20%台も目前となり、本格的な高齢化社会を迎える。行政は高齢者も安定して働ける環境づくりに本腰を入れ、併せて介護予防活動を本格化しないと、生活保護世帯は増えるばかりだ。年金制度改革も控えて市民は不安ばかりだが、未加入者が増えれば、生活保護が増え、いずれ納税者の負担に跳ね返ってくる。年金と福祉は密接につながっていることを行政は市民に分かりやすく情報提供する義務がある。
  
(安部 匡一)

 越谷市の生活保護基準額=越谷市(2級地|1)の平成18年度標準世帯の生活保護基準額は3人世帯(33歳男=傷病=、29歳女=就労=、4歳子)で基準額(月額)20万7770円。4人世帯(35歳男=傷病=、30歳女=同=、9歳 子、4歳子)で同24万6840円となっている。県内で保護率(昨年11月現在)が高いのは蕨市1・3%、川口市1・26%、戸田市1・1%の順となっている。人口20万人以上の市で比較すると越谷は川口、所沢、草加市(1116世帯)、春日部市(1069世帯)に次いで5位となっている。  都道府県でみると、保護率が高いのは昨年5月現在で、福岡県が2・3%でトップ。次いで北海道1・9%。埼玉県は0・7%で24位と中位となっている。全国平均は1・1%。