(越谷市)
疑問符の経費削減効果・導入施設も少なすぎる 越谷市の指定管理者制度
 越谷市は今年度から、公共施設の「指定管理者制度」を導入した。同制度は民間の能力を活用しつつ、住民サービス向上や経費削減を図るのが目的。越谷では30施設で導入しただけだが「指定期間中に市職員の人件費など2億4500万円の削減効果がある」(同市企画部)とする。
 

指定管理者制度になって越谷市社会福祉協議会が管理する老人福祉センター
 
一見、コスト削減のように見えるが、市職員は出先機関から戻るだけなので、市全体での人件費の削減には至っていない。
 同制度は、地方自治法の一部改正で今年度から導入された新しい制度。民間企業や社会福祉法人、NPO法人などこれまで公共団体に制限されていた公共施設の管理・運営を委託できるようにした。市町村が指定する「随意指定」と「公募」の2つに分けられる。指定期間は2年から5年まで市町村で指定する。
 越谷市では約80ある公共施設(出先機関)のうち、30施設に導入。今年度は5施設を公募。25施設は随意指定になった。公募したのは、おがの山荘と中央市民会館、花田苑、野鳥の森、弓道場。うち、おがの山荘だけ民間の人材派遣会社が受託した。そのほかは従来通り越谷市施設管理公社が受けた。
 同市の立澤悟企画課長は「指定管理者制度はコストの削減効果がある。例えば、越谷コミュニティセンターで5年の指定期間中で1億1450万円の削減。総合体育館では5年で9500万円の効果がある。人件費が主なもので、今後は導入施設を増やしていきたいが慎重に実施したい」という。
 これに対し、ある市議(66)は「導入施設が少なすぎる。給食センターや保育所などまだまだ、導入できる施設は多い。本格的に導入し市職員を減らし、コスト削減に真剣に取り組むべきだ」と厳しい意見を言う。

 市内には老人福祉センターが3か所あるが、以前から同市社会福祉協議会が管理委託を受けており、今年度から新たに指定管理者になった。3つの老人福祉センターの管理委託料は合わせて2億4000万円。昨年と同額になっている。社協職員の人件費に施設の光熱費や修繕費などすべてをこれで賄う。
 同社協では平成16年から、指定管理者受託に向けてプロジェクトを立ち上げ、準備を進めてきた。ISOの手法を取り入れ、職員の意識改善や施設の運営マニュアルを新たに作成。施設ごとに「運営方針」を作り、民間のサービス業の精神を導入した。実際には随意指定となり、競争入札は行われなかったが、施設運営のベースができた。
 同社協の千葉公也事務局長は「施設管理は安全、安心、信頼の3つの柱を掲げ、職員の意識改革を徹底した。年間の利用者目標を立て多くの市民に利用してもらう方法を考えたりしている。毎月会議を開催し、細かいチェックは欠かさない」という。同制度のおかげでコスト意識が高まったようだ。ただ問題は今後、委託料はさらに減らされることが予想され、長い目で見た人件費の計画が必要になりそう。
 施設利用者はどうか。老人福祉センターを利用している人(68)は「指定管理者って何。数年前から利用しているけど、特に何も変わらないようですね。市民サービスが低下しなければいいですよ」と話す。  一方、こうしたコスト削減を狙いながらも、サービス低下にならないよう、同市では平成16年度から「外部評価制度」を設けた。公認会計士や行政改革コンサルタントら専門家に委員(4人)になってもらい、市の事業を客観的に評価し、悪いところは改善しようという試みだ。
 公共事業は「費用対効果」が求められ、むだな事業は廃止する方向だ。同市の横川清政策経営課長は「厳しい財政環境の中で徹底してむだを省くことが必要」という。  厳しさの増す地方自治体。コスト削減に真剣に取り組まなければならない。経済の専門家の意見も大事だが、そこで生活している市民の意見がもっとも大切だ。市民の声が生かされる指定管理者制度になるようもっと門戸を広げるべきだろう。  
(安部 匡一)