(草加市)
県内の市で最悪・耐震化率50%目指す 草加市の施設耐震度
 災害時の避難場所に指定されている学校施設。耐震化は急務ともいえるが、国の補助金が出るとはいえ、財政厳しい自治体にとって思うように進まない現状が浮き彫りになっている。
 文部科学省は、6月に全国の公立小中学校施設の耐震化の取り組み状況をまとめ発表した。今回から市町村別に結果を発表したことで、自治体により学校の建物の耐震化に大きな開きがあることが明らかとなった。  埼玉県内市町村の耐震診断実施率は平均86・8%と全国10位だったが、耐震化率は、全国平均(54・7%)を下回る48・7%で30位と低い。中でも草加市は市の中では埼玉県下で耐震化率ワースト1(市町村全体でワースト3)と不名誉な状況だ。  

耐震補強工事を終えたばかりの新里小学校西側校舎
 
 草加市教育委員会総務企画課では「当面の目標として2010年度までに耐震化率50%に引き上げ、維持していきたい」と年度計画を立て、耐震補強に取り組んでいる。今年度に新里小の耐震補強1棟(完了済み)や新耐震基準に適合した改築中の谷塚小2棟を含め年度末には耐震化率23・58%になる見込み。来年度は、小学校(校舎1、体育館1棟)、中学校(体育館1棟)を補強する予定で、19年度末目標は26・42%。
 耐震診断により補強で済むか、建て替えになるかは財政的に大きな分かれ目。老朽化が著しい場合、耐震補強で数年寿命を延ばしても、かえって無駄使いになる場合もありうる。新耐震基準に合った建物に建て替えたほうが経済的という判断もある。市の05年度調査では、設計図により1981年以前に建築された校舎・体育館は市内106棟中90棟(1次診断は実施済み)あることがわかった。
 市は1次耐震診断により昭和40年代に開校の川柳、西町小は老朽化により危険と判断、ここ数年で建て替えられた。改築予定は今後、高砂、栄小と続く。草加市の方針として改築の場合は、地域開放型図書館やコミュニティ施設などを併設していく。
 鉄筋、コンクリート量などから補強箇所をチェックする2次診断を今年度から実施。耐震補強予算は各棟で異なるが、概算で1棟あたり2億円。改築となると1棟あたり10億かかり、自治体にとっては大きな負担ではある。今年度の耐震補強工事費は小中学校で約2億3400万円。
 特に草加市の特徴として「近隣に比べ人口の割に、学校数、建物棟数が多い。昭和30、40年代、東京のベッドタウン化により、松原団地をはじめ急激な人口増加で子供の数が多くなり、学校新設、増築が相次いだことが大きな要因」と同教委は分析する。その大半が1981年以前の旧耐震規準のもので、今につけが回ってきているという。  目標耐震化率50%は、厳しい財政との調整を図りながら達成しなければならないジレンマが続くが、災害は待ってはくれない。 GJ(金子 貞雄)
<新耐震基準>関東大震災などの災害の教訓から、1950年11月に建築基準法が施行(旧耐震基準)。その後、1968年の十勝沖地震の被害を踏まえ、RC(鉄骨)造りの帯筋の基準を強化、1981年6月に建築基準法改正(新耐震基準)。阪神大震災後の2000年6月の同法改正でさらに強化された。文部科学省は、学校施設が児童生徒等の一日の大半を過ごす活動の場であり、地域住民の避難場所の役割も果たしていることから、耐震化の指導・支援に取り組み、今年度から「安全・安心な学校づくり交付金」も創設。県教育委員会を通じて調査の81年以前建築の学校施設の耐震化状況調査を毎年公表している。