(越谷市)
働く受け皿作り急げ・官民一体の取り組み必要 「団塊の世代」の定年後
 「団塊の世代」(50代後半に属する)が退職年齢を迎えようとしている。  周知のとおり、この世代の人口ボリュームは特に大きい。
 50代後半の人口は全国で総人口約12.769万人中、約1.070万人(平成18年5月1日現在、総務省統計局)。 埼玉県では約705万人中、56万人(平成16年10月1日現在、同上)。この地域では人口の最も多い越谷市を例に取ると、318.397人中、27.687人(平成18年9月1日現在、同市情報統計課)。
各種のサービス業は「団塊の世代」をマーケットとして様々な企画を立てているが、「団塊の世代」自身にとっては年金の支給年齢までの期間(60歳退職・65歳支給と見て)を遊んで暮らせる人はけっして多くないはずである。国は高齢者雇用安定法を改正(平成16年6月)し、安倍首相は「人生二毛作」をうたう。 では、この地域での状況はどうだろうか。

再就職を求めて相談に来る人たち(ハローワーク越谷で)
 
 この地域の5市1町では、検討中の広域連携事業での活用を考えて「団塊の世代」の職員への退職後の過ごし方に関するアンケート調査を行なっている。結果が出るのは11月ごろと見られる(越谷市企画課の話)。  民間では、20人〜30人程度の中小企業では現在でも既に経験、技術を生かして定年後も継続して働いている人が多いと言う(越谷市商工会指導課長伊藤猛さんの話)。  では、東京に勤務している50代の人はどうか。
 越谷市在住のドライバーの高山さんは「この近くで営業できるようになればうれしい」と語り、同じく製造業勤務の神戸さんは「この地域に転職できれば、今、会社をやめてもよい」と話す。退職後の地元勤務を希望する人は案外多いのではないか。  ちなみに近隣の千葉県が行なった「団塊の世代」への意識調査(千葉県商工労働部雇用労働課「団塊の世代の退職後の就業意識等調査」平成18年2月発行)では、同県の東京勤務者の40%近くが退職後の地元勤務を希望している。  しかし、この地域では「高齢者の新規雇用についての話は聞かない」(伊藤猛さん)という状況である。
 自治体(市、町)では、相談窓口、ネットサービス、セミナーなどの活用で再雇用促進に臨む模様であるが、受け皿作りへの働きかけも必要になってくるだろう。  都内の八王子市では、市の呼びかけで「応援隊」と呼ばれるグループが作られ、「団塊の世代」の退職者をアドバイザーとして地域企業の活性化を図る動きを強めているとのこと(都市経営セミナーに出席した越谷市議の話)。  東京郊外という立地条件で共通するこの地域の市、町でも新たな試みが行なわれてしかるべきではないか。
 民間への呼びかけ、歳出削減による高齢者雇用への助成、役所の職員を越えた広い範囲での動向調査を行なった上で、広域連携の事業に民間退職者の雇用の道を探るなど、さまざまな試みを行なうべきだ。   
(加藤 誠一)

 「団塊の世代」  1947年、48年、49年生まれの人口ボリュームの特に大きな層を指す。この時期の出生者数は約800万人と言われている。  終戦直後の復員を受けて多数のカップルが生まれた結果である。  この呼称は作家堺屋太一氏の著作から生まれた。  幅をもう少し広く取る場合もあるが、主として用いられるのは上記の3年間の出生者である。