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「潮止晩生葱」復活へ・「研究会」を発足、名産品へ

2017.1.1(八潮市)
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 八潮市の「潮(汐)止晩生葱(しおどめおくねぎ)」を知っていますか?

 明治以来、1965(昭和40)年頃まで、旧潮止村を中心に盛んに生産され、品質を高く評価されながら現在は姿を消した“幻のネギ”。今、このネギの復活を夢みる人たちがいる。同市大瀬の臨床検査技師、金森正夫さん(65)が代表を務める「潮止晩生ねぎ研究会」(会員5人)だ。

 「潮止晩生葱」は「千寿ネギ」の一変種で、1本の根から5本の茎が伸びる。4、5月が一番の食べごろで、柔らかく甘みが強いのが特徴。しかし、柔らかいため輸送中に折れたり、日持ちがしないが弱点があった。このため、丈夫な「千寿ネギ」が主力になり、次第に生産者が減少し、市場から姿を消した。

 一時期、盛んに生産された「潮止晩生葱」の改良に尽力したのが、旧潮止村の鈴木安五郎ら計9人の農家。天保年間(1830〜44年)に、旧葛飾郡砂村(現・東京都江東区)から原種を入手して試作したのが始まりとされ、1071(明治4)年に夏季用種と冬季用種の2種に品種改良した―と「埼玉農報」(1914年12月1日発行号)にある。

 金森さんは、都内の老人医療センターに勤めるかたわら、親の代から続く畑でナス、ゴボウ、ゴマ、ニンジンなどを育ててきた。この間、地域の歴史を調べ、文献を読む中で、「潮止晩生葱」の存在を知り、興味を持った。一昨年9月から、種を取り寄せて、試行錯誤しながら栽培に取り組み始めた。「ネギは細菌やウィルスの病気にかかりやすく、気が抜けない。種をまく時には細心の注意を払っている」と金森さん。繊細な心配りで大切に育ててきた成果は、ようやく実りつつある。

 昨年11月9日、同会メンバーは「第一回『潮止晩生葱』収穫祭」を開き、獲れたてのネギを焼き、醤油に浸したり、マヨネーズや七味唐辛子を振りかけて食した。その味に、メンバー全員から笑顔がこぼれた。金森さんは、3月に定年を迎える。「今後は『潮止晩生葱』の栽培に力を注ぎ、市場に出して、八潮の新しい名産品にしたい」と夢を膨らませる。
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