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「地域一丸」が大切・前八潮市長の多田重美さん

2016.3.14(八潮市)
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 電話の向こうから「助けてくれ!」の叫び。友人の岩手県遠野市の本田敏秋市長の声だった。故郷の遠野は三陸沿岸にも近い。必死でかけ続けた電話がようやく遠野市役所につながった時のこと。「電話がつながったこと自体、奇跡的」だった。

 あの声に応えなければ―。当時市長として、市議会の協力で開会中の議会を中断し、援助物資集めに奔走した。市民から、衣類、高齢者用のオムツ、生理用品、防寒用具など段ボール1000箱分、市内業者からドラム缶7缶の灯油が寄せられ、多くの義援金も集まった。 

 近隣自治体からも、粉ミルク(越谷)、アルファ米(草加)などが続々と送られてきた。「提供してくれた東部地区5市1町の皆さんや、現地の状況が分からないにもかかわらず、配送を快く引き受けてくれた企業には今も感謝している」。

 市民の素早い反応は「1989年から自主防災組織を作り、防災訓練を行ってきた効果かも知れない」と振り返る。「市内でも、福島県で除染していた業者に依頼し、市内の小中学校で除染を開始した。県内で最初だった」という。放射線測定器も購入し、市内で測定した。

 2011年夏、被災地の宮城県石巻市を訪れた。「あまりのひどさに言葉がなかった」。その時の衝撃を忘れることができない。これを機に市は、各企業や団体と災害協定を結んだ。
 「災害発生の際、自治体が個別に対策するのも大事だが、それ以上に地域が一丸となることが大切。それには、トップの思い切った決断が必要だ」。あれから5年目を迎え、改めて心に刻む。

                    ◇  東日本大震災から5年。さまざまな立場で、被災地や被災者と向き合ってきた人たちの「今の思い」を随時掲載 します。
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