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「カラオケ」歌が生きがい・杜の家やしお

2016.1.4(八潮市)
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「吹けば飛ぶよな 将棋の駒に〜」

八潮市鶴ケ曽根の特別養護老人ホーム「杜の家」に響く「王将」(西條八十作詞、船村徹作曲)の歌声。渋いのどを披露するのは、石橋マスさん(76)だ。

「一番手で歌えて、うれしいね」と言いながら、石橋さんの顔は満足そうに輝く。

 「王将」に促されるように、入所者たちは次々にマイクを握る。太く、あるいは細く、カラオケのテンポに遅れまいと、「高校三年生」や「青い山脈」と言った昭和歌謡の歌詞を追う。「東京音頭」や長野県の県民歌「信濃の国」まで飛び出した。

 この「カラオケお楽しみ会」をサポートするのは、市内の主婦、大原節子さん(72)ら3人の女性ボランティアグループ。10年前、脳腫瘍の手術をした大原さんは、カラオケでリハビリしたところ、後遺症もなく回復した。その1年半後、夫(75)が脳梗塞で倒れ意識不明となった。左半身マヒで3か月の入院後に「杜の家」(大枝真弓施設長、入所者100人)に入所した。

 施設にはカラオケ機材がある。「病気の時、カラオケが生きがいだったのを思い出した」大原さんは、入所者に楽しんでもらおうと、カラオケサポート活動を施設に提案。昨年10月から近所の友人2人を誘って忙しいスタッフに代わり、カラオケ会をリードしている。

 廊下で5、6人から始めたが、聴くだけでいい、という人たちも集まり、今では一番大きい会議室を使う。

 「大原さんの司会が絶妙。歌う人はスターになったかのように、キラキラした顔になる。面会の家族も『今日はカラオケ会があったね』とすぐ分かるそうです」と、「杜の家」相談援助課長の中村麻里さん(37)。
 「歌謡ショーも悪くはないけれど、自分で歌うことで元気が出るんですね」という大原さんたち。今では、自分たちの生きがいにもなっている。