ニュース

大上さん2回目の県展特選・蒔絵の技法駆使

2014.6.16(八潮市)
ニュース写真
 第64回埼玉県美術展(18日まで、県立近代美術館で開催中)の工芸の部で、県教育委員会教育長賞を蒔絵の技法を駆使した「色紙箱回り道」で受賞したのは、八潮市緑町の大上京子さん(69)。特選は12年前の「県議会議長賞」以来2回目の受賞。
 受賞作品は、天地31a、左右27・5a、高さ5・8aの色紙箱。表面に三つ葉と四葉のクローバーの花飾りをイメージしたデザインを描き、研ぎ出し蒔絵、蒔きぼかしの技法を使い、白や緑、青色の花はアワビで螺鈿(らでん)細工を施した。箱の4面には三つ葉をあしらい、高蒔絵で表現した。箱の周りには、古来から伝わる「桧垣」文様を描いた。箱の中の漆塗りは終わっていたが、2年前から蒔絵の部分をとりかかり完成した。
 大上さんは「貝と金の高さが違うので、高さをそろえる研ぎ出し蒔絵の部分がぎりぎりまで研ぐ出す微妙な見極めに一番苦労しました。デザインは、子どものころ学校の帰りなどに寄り道しながら、四葉のクローバーを探したことや花飾りを作ったことをヒントに考えました。華やかな花よりもありふれた野に咲く草花の美に魅かれます」という。
 ふだんは、東京都伝統工芸士でもある漆塗り職人、夫の博さん(73)の仕事を手伝い、剣道の胴具に校章や家紋などを入れる蒔絵の仕事を手掛けている。34年前、子どもが大きくなり手間がかからなくなったため、昼間は夫の仕事を手伝いながら、夜は都内のカルチャーセンターに4、5年通い、蒔絵の技法を習得した。
 デザインの着想を得るため、今も毎月、美術館巡りは欠かせない。磨いてきた技術を表現する場として、県展に出品しているが、仕事の合間を縫って制作するため、作品は1年にひとつほどしか作れない。今回も、前回の特選からしばらく県展出品が遠ざかっていたが、4年前に再開した。
 「技術的にもまだまだです。悩みながら、日々勉強です」。夫の博さんも漆塗りの技術向上に年に数個のペースで作品を作り、県展に出品し、昨年、初入賞した。
 「いつか二人で個展ができれば」という夢がある。

>戻る