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桜の名所がピンチ・葛西用水沿い、外来昆虫の被害

2017.3.27(草加市)
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 各地の花だよりが届く中、草加市稲荷の桜の名所「葛西用水沿いの桜並木」が今、ピンチを迎えている。老朽化だけでなく、4年前から外来種昆虫の「クビアカツヤカミキリ」で枯れる被害が出始めている。やむなく伐採に追い込まれる桜も目立ってきたため、外来種昆虫の駆除対策を進める同市は今年度から、桜の“健康診断調査”を始めた。2018年度には官民一体の総合的な保全管理計画を策定することにしており、桜の名所再生の本格的なプロジェクトがスタートした。

 葛西用水では、1978年から市観光協会などによる植樹が進み、現在は1・3`にわたり462本のソメイヨシノが並び、シーズンには花見客でにぎわう。しかし、植樹後約40年が経過し、老朽化の一方で、深刻な問題が浮上した。13年夏、外来種昆虫の「クビアカツヤカミキリ」の成虫が生息していることが確認された。この幼虫が桜や果樹に寄生すると、枯れてしまうという被害をもたらす。国内では前年に愛知県で発見されて以来2か所目だった。

 同市が、幼虫生息のサインとされる「フラス」(木くずと害虫のふんが混じったもの)が出ているか調査すると、約150本に見つかった。駆除剤などの対策が確立していないため、市は成虫を発見次第に捕殺するよう、地域の環境団体や町会などに協力を呼びかけている。

 14年度以降は、根元から約1・2〜1・5bの高さにネットを張り成虫を捕獲し処分し、地元の協力でパトロールも実施している。市は毎年成虫100匹前後を確認しており、これまでに計20本の桜を伐採した。県生態系保護協会草加八潮支部の加納正行支部長(82)は「伐採により、3年前のピーク時よりは成虫は減ったが、繁殖率が高いので安心はできない。2`以上離れた民家でも見つかっている」と話す。

 国も対策に乗り出し、農水省・横浜植物防疫所調査研究部は、桜に駆除剤を注入し効果の実証実験を続ける一方、今年夏には環境省の「特定外来生物」に指定される見込み。指定されると飼育や売買、移動などが規制される。

 市は保全管理計画策定に向け、基礎調査や樹木診断を始め、昨年夏、都内の樹木医に調査を委託した。初期診断では、42本に“活力低下”が確認され、全体で240本に幹の傾斜や揺れなどの異常が見つかった。17年度は、この240本の外観や内部の精密診断、土壌調査などを行い、18年度には官民一体の保全管理計画を策定する。

 上野恭正・くらし安全課課長は「国が実証実験を続けているが、市として根絶する決め手がないのが現状。これ以上周囲に拡散しないよう、成虫の捕殺と監視を続ける」と話し、維持管理する同市みどり公園課は「地元と協議しながら、桜の樹勢回復のための剪定などの対策をしていきたい」としている。


アカツヤクビカミキリ(別名クロジャコウカミキリ) 中国、台湾、朝鮮半島などが原産で成虫の体長は約2・5〜4a。全体的に光沢のある黒色で、首の部分が赤い。幼虫がサクラやモモ、ウメなどの樹木の内部に寄生し衰弱させる。樹木内で2、3年生息したのち、6月〜8月ごろに成虫となる。海外や国内でも生息分布が広がり問題化している。

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