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多摩美大で「注染」を教授・昼間時良さん

2014.7.14(草加市)
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 埼玉県伝統工芸士として県内でただ一人、かつて草加市などで操業していた浴衣染めの「注染」の伝統技法を伝える、昼間時良さん(76)が、「特別教授」として、多摩美術大学(五十嵐威暢学長、東京都八王子市)で、6月3日から17日までのうち、5日間、講義を行った。同大学生産デザイン学科テキスタイル研究室の弥永保子教授が指導する3年生24人に、注染の歴史から染めの体験までを指導した。
 テキスタイルとは、染めや織りなどを含めた一般的な繊維のデザインで、繊維という素材をファッション、家具、インテリア、建築など多方面に活かすこと。受講生24人は、注染の歴史や染料などの講義後3班に分かれ、今回はゆかた地ではなく手拭いのデザインを検討。そのデザインを基に型紙を作成し、糊づけ。そして糊づけした型紙を使い。手拭いを様々な色で染める注染を体験した。1班は、8人の出身地が異なっていたので、それぞれの似顔絵の中に県の形を取り入れ「県顔」をデザイン。2班は、8等分したスペースをそれぞれデザインし、全体としてストライプになるようデザイン。3班は、グループの人の頭文字をカタカナでデザイン。
 弥永教授は「学生の持つデザインを注染で表現できれば楽しいのではと企画した。昼間さんは、八王子の奥田染工さんに相談し、紹介された。注染の染料の取り扱いなどの問題があるが、来年はもっと具体的な取り組みをしてみたい」と話していた。
 受講した大川原紗岐さん(21)は「長板中型は体験しているが注染は初めて。何回も折り返しながら糊をつけるという作業は無駄が多いのではと思ったが、染料を注ぐことで一度に数反の反物を染め上げる、一つ一つの作業を無駄なくという昔の人の知恵や技術のすごさを感じた」と感想を述べた。
 講義を終えた昼間さんは「学生がデザインから型紙作り、染め体験をして手作り作品を作り上げたのは、モノづくりの原点を感じてもらえたのでは。一度に数反の反物を重ね、同じものものを染め上げる注染の技法に、学生が非常に興味を持ってくれた」とうれしそうに話していた。
 かつて草加、越谷、八潮の各市にはゆかた染めの伝統技法として注染(ちゅうせん)、籠染め、長板中型染めがあった。現在、業務として残っているのは、八潮市の長板中型染めだけで、注染、籠染めは業務としては行われていない。草加市で行われていた注染は、昭和30年代には東京本染ゆかたとして全国に名が知れ渡り、東京本染ゆかたの50%近くを占め、同市の伝統地場産業の一つだった。

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