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奥の細道文学賞に宗像さん・「阿武隈から津軽へ」

2013.12.16(草加市)
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 草加市は、全国から国内の旅をテーマに紀行文や随筆を公募していた「第7回奥の細道文学賞」の選考を行い、受賞者を決定した。正賞には、福島県三春町在住の宗像哲夫さん(65)(製麺会社会長)の「阿武隈から津軽へ」が輝いた。そのほか2作品が優秀賞に選ばれた。また、今回から新設された「ドナルド・キーン賞」は該当者なしだった。
 同文学賞は、市制35周年と俳聖松尾芭蕉没後300年記念事業として、草加の地名が登場する「おくの細道」にちなみ、1992年に奥の細道の旅や広く日本の旅を対象とした紀行文・随筆の賞として創設。ドナルド・キーン賞は、同氏の長年の日本文学研究を讃え、今回から近世の俳人や作品に関する評論・論文を対象に創設した。全国から合わせて104作品の応募があった。
 宗像さんの作品は、放射能汚染地域での閉塞感から心機一転するため、阿武隈から津軽へ、俳句が趣味の妻の真知子さん(62)と旅をし、旅の途中で聞くふるさとに対する数々の風評や癌に侵された自分の運命に立ち向かい病魔と戦い続ける、三味線弾きとの出会いを通じて、自らの居るべき場所を再確認するという内容。選考委員からは「3・11東北大震災の後遺症の残る時代を踏まえ、現代社会への批評眼を持った、人に感動を与える作品」と絶賛された。宗像さんは、獨協大卒で、40数年前に過ごした第二のふるさとともいうべき草加の文学賞受賞に喜びもひとしお。宗像さんは「福島第一原発の放射能漏れ事故で風評被害もひどく、長年住み慣れたまちを去る人も多かった。誰が悪いという話ばかりしていても始まらない。前向きに生きていかなくてはという思いが、この旅で改めて思いました。覚悟を決めて、この場所で頑張って生きていこうと、福島の人たちにも思ってほしくて書きました。そんな思いが審査委員の心に響いたのだと思うと、この受賞はうれしい」と受賞の喜びを語った。
 表彰式は2月1日、草加駅前アコスホールで行われ、ブロンズ製の芭蕉像、賞金100万円が贈られる。入賞作品は20日から市ホームページから閲覧できるほか、2月1日に草加文庫として作品集が発刊予定。

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