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明治の教科書など展示・資料館に「懐かしの教室」

2013.12.2(草加市)
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 大正時代に県下初の鉄筋コンクリート校舎として建てられた旧草加小学校西校舎の建物で国登録文化財に指定されている、草加市立歴史民俗資料館が開館30周年を迎え、その記念事業として先月10日、昭和30年代の小学校の教室を再現した教育資料室「懐かしの教室」が、同資料館2階にオープンした。明治から大正、昭和の草加の学校教育の歩みを合わせて展示した資料室で、見学に訪れる団塊の世代からも「子どもの頃を思い出す」と感激の声が上がっている。
 この建物は1982年(昭和57年)まで草加小学校の西校舎として使用され、役目を終えたのち改修され翌年、市立歴史民俗資料館として開館した。1926年(大正15年)9月、県下初の鉄筋コンクリート校舎として完成した貴重な建物で、設計は今も全国各地に残る木造校舎を手掛けた地元の建築家・大川勇が担当した。
 教育資料室は、元教員の中島清治さんが、5年前に同館職員となって以来温めてきたものだった。教員時代に個人的に集めてきた学校教材はじめ、市内小学校の倉庫に眠っていた木製の児童用のいすや机、黒板、教壇、教師用机、給食のアルマイト製食器などを見つけ出し、市民などから寄贈された教科書、などをもとに再現した。自身、草加小学校出身でこの旧校舎で3年生のときに学んだ思い出の校舎でもある。
 中島さん(66)は「私自身、思い出の教室でもあり、担任の先生の影響で教師をめざす志を誓った場所でもあります。誰もが志を立て社会に役立つ人間になるべく努力してくださいと、先生が掲げた言葉『立志』が忘れられない。さまざまな人材を育てた草加の近代教育140年の歴史が果たした役割は大きい。この歴史を皆さんに知ってほしい」という。
 日本の近代教育は、フランスの集団教育の方式を導入した。草加の場合、1872年(明治5年)の学制発布により、草加、新田、谷塚、川柳の4小学校が誕生したことに始まる。この4校を中心に各種資料で展示構成した。展示資料は、童謡など聞かせた蓄音機や明治、昭和期のオルガンなども展示され、今も現役で動くものばかりだ。教科書は、明治10年ごろのものから、大正時代、昭和20年から60年代のものまでそろっている。珍しいのは明治時代に使われていた石板で、国産とフランス製の2種類を展示、紙が貴重な時代にミニサイズの黒板をノート代わりに使っていた歴史がよみがえる。市内全小学校の記念誌も常備した。
 「懐かしの教室」を訪れた人も子ども時代の思い出に浸っている。大森裕海さん(68)(吉町3丁目)は「都内湯島の出身ですが、子どもの頃の教室そのもので懐かしく、涙が出ますね。友だちや先生の事など、あのころの記憶がよみがえりました」と涙ぐんでいた。
 資料館職員のうち2人は元教員なので、この教室は放課後学習の場としても活用していく予定。企画展示に向けて古い教育資料も市民などから提供を呼び掛けている。
 <問い合わせ>草加歴史民俗資料館(月曜休館)TEL922・0402。

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