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「茶の湯現代展」で優秀賞・宮地さん、陶器の茶釜で

2012.5.1(草加市)
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 草加市遊馬町在住の陶芸家で日本工芸会正会員の宮地陶博さん(63)(本名・博)が、作陶した茶釜「彩泥粒穴層文釜」(高さ20a×直径26a)が第1回公募展「茶の湯と現代|用と形|」で優秀賞を受賞した。受賞作品は6月24日まで、同展主催の公益財団法人菊池美術財団が運営する、「菊池寛美記念 智美術館」(東京都港区虎ノ門・ホテルオークラ近く)で展示されている。
 同館は、実業家・菊池寛実(かんじつ)氏を父に持つ、智(とも)氏が収集してきた現代陶芸コレクションの一般公開、陶芸作家や研究者の育成などを目的に2003年4月に開館。同展は、現代における造型表現と茶道具との接点を探り、茶の湯文化活性化の一助にと陶磁器、漆工、木工、金工、ガラスなど幅広い分野を対象に、これまで隔年で実施してきた「智美術館大賞 現代の茶陶展」を衣替えし、全国公募展として再始動した展覧会。今回は、全国から383点の応募の中から、選考のうえ大賞1点、優秀賞2点、奨励賞10点が決まった。
 宮地さんの作品は、オリジナルの技法を駆使した陶器で作った珍しい茶釜。鉄釜が常識の世界で、新しいデザイン性と焼きものの茶釜としての実用性で目を引く作品となった。「鉄釜よりも陶器の釜のほうが、色彩もバリエーションが豊かにできる。土鍋などがあるように陶器でも十分湯を沸かせる。常識の世界に一石を投じたいという思いがあった」と宮地さん。昨年9月ごろからとりかかり、約2か月かけて3種類を作り、一番完成度が高い今回の作品を出品した。
 オリジナル技法である、約1・5_幅でカットした和紙を波形の曲線をつけて貼り、茶色系の3色に彩色された釉薬「彩泥」をかけて、文様をつくりだしている。このあとさらに、針で密度の濃い無数に穴をつけていく「粒穴」の技法も取り入れた。この技法は「穴を開けることで、熱い湯を入れても熱の伝導率が下がり、持っても熱くない。粘土の中の空気を抜くことで粘着性を高くし強度を高める。作品の冷たさを柔らかい風合い、感触にできる」効果があるという。
 林家晴三同美術館館長は「口造りといい、胴の膨らみといいなかなかいい作品。これまで見た土で作った釜の中の傑作」(公募展図録に収録の座談会より)と絶賛している。
 「見た人に驚きと心豊かな気持ちになれる作品づくりを今後もめざしたい」と宮地さん。陶芸は、小学校教員を務めながら1984年に自宅に築窯し87年に松井康成氏に師事。94年伝統工芸新作展入選、98年には、同展で東京都教育委員会賞を受賞、99年日本陶芸展入選など。2000年に教員を退職し、陶芸に専念。日本橋三越での個展や2009年・菊池ビエンナーレ入選(公益財団法人菊池美術財団主催)などで活躍している。日本工芸会正会員、埼玉県美術家協会会員、草加市美術家協会会員。

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