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ゲーテの生家をたずねて・<伝統から創造へ>

2011.6.20(草加市)
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 獨協大・天野貞祐初代学長が1922年から2年間留学したハイデルベルク大学。建学の師に憧れ同大に学び、18年間を過ごし、ドイツ人の伴侶を得た赤池王(獨協大卒現山梨大学講師)。彼は、日本の伝統文化紹介の為、ハイデルベルクに剣道クラブを設立。
 草加市松原剣道スポーツ少年団師範の南雄三(獨協大卒)は、学生たちと渡独の際、赤池の依頼でドイツ人の剣士を指導。汗を流した後、同行の獨協大生たちとともに学生食堂で旧交を温めた。
 ハイデルベルクとの関わりあいを心に刻みながらバスは、アウトバーンをフランクフルトへ。翌朝、空港近くのホテルからタクシーでフランクフルト歌劇場前へ。
 ここからメンバーと別れ単独行動。胸をときめかせながら「ゲーテの生家」を目指す。東も西も分らずにドイツ語の地図を見ながら緊張感と心細さの中で探し始めた。大通りの中央にゲーテの像が立つ。宝島で宝を探すように丹念に右折・左折を繰り返しながら歩いていく。
 発見。これが夢にまで見た世紀の文豪「ゲーテの生家」だ。生まれてから大学入学までを過し、4階には代表作『若きウェルテルの悩み』などを書いた部屋があるという。自動シャッターをセットして何枚も写真を撮る。ここでゲーテが生活していた事を想像するとさらに興奮。大きく深呼吸をして記憶に焼きつけ、集合場所のレストランへ。パスタを食べながらゲーテハウスの小さな冒険を熱く語った。
 夕方から小雨。16時に市内のSTFの会場に入り舞台設営・リハーサル。20時にフランクフルト公演が始まる。
 開演前のロビーや客席に和服を着た数人の女性が目についた。現地日本人会のメンバーで今回の公演のお手伝いだ。チケットの販売から会場整理まで。日本人の誇りをにじませながら、和服で堂々と活動する姿は同胞として尊敬の念を抱く。
 会場は立ち見が出るほどの超満員。重枝豊英フランクフルト日本国総領事の挨拶。「日本の伝統文化の重さを強調しながら両国の友好交流を願う」との趣旨のスピーチを聞いて、日本人会の人達が大きくうなずいていた。
 両国国歌を雅楽による演奏のあと1部が開演。休憩に続き2部へ。天台の坂本観晃大僧正が口火を切る。その聲明を合図に真言智山法響会小笠原隆治会長が低く声を合わせ、おごそかに唱和が流れる。やがて天台10人、真言智山10人の魂のうねりが会場内に響き渡る。まさに「異空間」の創出だ。拍手が止まらない。アンコールへの対応はなく、散華でまいた紙製の花弁を渡すことで精一杯。観客は盛り上がっていた。
 (創造する伝統ドイツ公演スタッフ・児玉一=文中敬称略)
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