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ローレライと古城が語る・<伝統から創造へ>

2011.6.6(草加市)
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 デュッセルドルフでの公演終了の翌朝、フランクフルトへ移動。
 デュッセルドルフ駅からケルンを過ぎてしばらくすると(約20`b)、「ボン」と言う駅名。かつて西ドイツの首都があった。サッカーの香川選手が所属するドルトムント駅を通過した時と同じ印象。こぢんまりとした田園都市のたたずまい、決して大都会ではない。ベートーベンの生まれたボンの人口が約30万人、ドルトムントが約58万人からも想像がつく。
 列車は、さらにライン川に沿いながら快適に進む。雄大な流れの対岸に古城が現れてくる。ネズミ城、ネコ城と呼ばれる城を通り過ぎると、いよいよハイネの作品の中にも描かれている「ローレライ」だ。
 ローレライは、「妖精の岩」という意味を持ち、ライン川の航路で最大の難所。川幅が狭くなり、突き出た岩などにぶつかり多くの犠牲者を出してきたと伝えられている。
 岩の下に眠る黄金伝説を思い浮べながら車窓から車内に目を移すと、小学校3年生くらいの男児と母親がトランプゲームに熱中している。突然、そのゲームの中に真言智山の小宮俊海が加わった。楽しそうにはしゃぐ子供の姿がまばゆく見えた。国際交流の原点は、市民レベルでの素朴な交流にもあるのだと思った。
 列車からバスに乗り換え、ハイデルベルクへ向かう。ネッカー川に架かるカールテオドール橋に到着。若き日のゲーテが恋を語ったと言う橋を往復し、ハイデルベルク大学へ。1386年創立のドイツ最古の大学は、歴史の重厚さが随所に感じられた。
 大学の自治は、大学自体の規律にあることを偲ばせる学生監があった。これは校則違反をした学生を留置する施設で、鉄格子があり、鍵がかけられるようになっていた。
 留置された学生は、牢の壁に自画像やメッセージを書き、自己主張の痕跡を残していた。
 ところで、ドイツとの関わりが深い獨協大学は、ドイツ国内に姉妹校を持つ。デュースブルグ大学、ミュンスター大学、マールブルク大学、ブレーメン専門単科大学の4校。学生交流、学術交流を積極的に進めてきている。
 南西の高台には、13世紀に造られたハイデルベルク城がある。古城街道の出発地の名にふさわしい美しい古城だ。
 城内に入ると、旧市街地が一望に見渡すことができ、ヨーロッパのおとぎ話の世界を訪れているような錯覚をおぼえる。
 また世界最大級と言われるワインの大樽には驚かされた。領民から税をワインで徴収していたなごりが残り、税制度の地域性を特徴づけるもの。
 ドイツを旅していると、伝説・古城・大学など歴史に刻まれた厳粛な雰囲気に触れることができる。
(創造する伝統ドイツ公演スタッフ・児玉一=文中敬称略)

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