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児童が「公害の原点」学ぶ・鈴木さんが「足尾」絵画展

2010.11.16(草加市)
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 草加市神明在住の洋画家・鈴木喜美子さん(67)=新制作協会会員=の個展「足尾|風土円環 よみがえる大地を見つめて|」が4日から8日まで、草加駅東口前のアコスで開催された。同展は、鈴木さんが描き続けてきた日本の公害の原点である足尾鉱山(現栃木県日光市足尾町)の作品群を1981年から2010年までの変遷を追ったもの。
 7階のアコスホールでは足尾を描いた50号から300号までの約50点、6階のアコスギャラリーでは鈴木さんが日ごろ接している花、旅で訪れた海や山の自然をテーマとした小作品約30点が展示された。
 期間中、草加市内の高砂小と草加小の児童も会場を訪れ、引率の先生から「雪の描き方、遠近法、同じような色を使用していながら微妙な違い、筆使いなどをしっかり見てください」という言葉を受け、作品鑑賞に臨んでいた。鈴木さんが自ら絵の説明をすると児童は、「こんな大きな絵をどうやって描くのですか」、「足尾の風景で一番ショックを受けた時期は」、「なぜ描こうとしたのですか」、「一つの作品にどのくらいかかるのですか」など次々と質問が投げかけられた。
 鈴木さんは「キャンバスを壁に立てかけ、高いところは脚立を使ったりしています。29歳の時、両親を相次いで失い頭も心も真っ白になり、絵にも色を表現できなくなっていました。そのころスケッチで訪れた日光の帰りに足尾に寄りました。雪に覆われた足尾を見たとき、心と風景の寂寥感が一致したのが描ききっかけであり、その最初の出会いが一番ショックでした。大きい作品なので1年はかかりましね」など、丁寧に質問に答えていた。児童の中には帰りがけに「グッド」、「すごくうまい」、「大きい絵ですね」などと言いながら、握手を求める子もいた。
 また、同展を訪れた人は「戦死した父がこの鉱山で働いていました」、「足尾で生まれ育ったんですよ」、「この鉱山は、今日の日本を築き上げた重要な産業の一つでもあったんだ」などと感想や思い出を語りながら、一点一点食い入るように見つめていた。

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