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30年の集大成を11月に展示・足尾を描く鈴木喜美子画伯

2010.10.4(草加市)
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 日本の公害の原点、「足尾」の風景を30有余年ライフワークに描き続けてきた、洋画家鈴木喜美子さん(67)=草加市神明1丁目在住=の個展「足尾|風土円環 よみがえる大地を見つめて」が11月4日〜8日、草加駅前アコスホールとギャラリーで開催される。昨年6月から鈴木さんの支援者が集まり、鈴木喜美子展実行委員会(浅古勲委員長)を立ち上げ協賛金を集め実現の運びとなった。鈴木さんにとっては地元で初めての集大成ともいえる絵画展。

 鈴木さんは、武蔵野美大卒で昭和初期を代表する小磯良平らが1936年(昭和11年)に創設した新制作協会に所属し福島誠氏に師事。74年ごろ、相次ぐ両親の他界に強いショックを受け、傷ついた心を癒やすために出かけた栃木県日光市でのスケッチ旅行の際に、旧足尾町(現日光市)の足尾銅山の荒涼とした風景に出会った。すでに操業停止し閉鎖され人気のない工場や緑を失った山、灰色に光る川、その異様な風景は、鈴木さんの創作意欲をかきたて、以来30有余年、足尾のさまざまな姿を見つめ再生しようとする息吹を感じながら、その変貌する姿を描き続けてきた。鈴木さんは「10年ごとに描く姿勢が変化してきた。1980年代は荒涼とした気持ちをひたすらカンバスにぶつけ、90年代は冷静に足尾の全体像を見つめ直し、2000年代は工場の細部や煙突の錆などを再構築して見て、今年からは自分の人生とリンクしどのように還元するかがテーマになった」という。
 これまで作品の発表は、新制作展はじめ、銀座の画廊や栃木県などで20数回個展を開催し、2005年ニューヨーク国連本部でも個展を開催した。国連本部での個展は地球環境問題を投影し各方面から高い評価を得た。地元草加では、鑑賞機会がなかったため、多くの人に鑑賞してもらおうと今回の個展が企画された。
 展示作品は、これまで描いた100点を超える作品の中から、「雪の足尾線」(1981年・第1回日本画郎協会賞展奨励賞)はじめ新作の「足尾の今|松木へ2010」、40号から300号まで約50点を自ら選んだ。6階ギャラリーでは「山と水とそして花たち」をテーマに最上川の冬景色、奈良・秋篠寺などの新作20数点も展示。草加市、同教育委員会、八潮市、同教育員会、栃木県日光市が後援。
 鈴木さんは「足尾は今、残されていた工場も撤去され、かつての面影もほとんどなくなりつつあり、その歴史も風化しつつあります。滅び行く姿と再生し生まれ変わる姿のはざまを絵描きとして切り取り描いていきたい。目では見えなくなっても確かにそこに存在した、周囲の自然と対峙した、単なる風景ではなく『生き物』としての足尾の姿をメッセージとして伝えていきたい」と話している。
 <問い合わせ>市文化・スポーツ課TEL922・2968、鈴木喜美子さんTEL924・9234。

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