トップニュース

担当課長「納入指示なかった」・草加市元助役収賄事件再検証

2010.9.20(草加市)
ニュース写真
 草加市の元助役の収賄事件を、市職員課が中心に再検証。その結果、司法で有罪の決め手となった当時の担当課長の「(納入を)指示された」とする供述。それが「特定機器の指示はなかった」に変わっていた。こうした再検証から「(元助役に)行政行為の不正はなかった」と発表した木下博信市長。これに対し、市議会が「法令順守に欠ける」として不信任を可決、木下市長は市議会を解散、10月10日に投票が行われる。本紙は独自の取材で、同課が06年7月から実施した「収賄事件に関係した職員の事情聴取」結果の一部資料などを入手した。市長は、免責を約束した関係職員と、関連情報を非公開とする守秘義務議の中で、十分な説明が出来ない苦しい立場も明らかになった。(芳野順二)

 児玉一・元助役(62)は、助役就任直後の05年3月、高校の同級生だった電機施設会社経営者が同市の高年者福祉施設への蓄暖機納入に便宜を図り、謝礼に車購入のローン代金252万円を、自分の口座に振り込ませたとして、06年4月に刑が確定した。
 これを受け、市職務倫理向上委員会は直後の5月、「捜査妨害の恐れがなく、事実関係を再検証したい」と、警察の事情聴取を受けた職員十数人から延べ数十回にわたる聞き取りを実施。同年9月4日に木下市長に結果を報告した。
 さらに今年に入り、児玉氏の4年の執行猶予期間が満了した6月初め、同氏の協力を得て事情聴取。関係職員の供述調書を基にした事情聴取は111項目、9nに及び、事件一連の再検証を終えたとして木下市長に伝えた。
 この中で、有罪を決定づけた当時の担当課長は、供述調書で「(児玉助役から納入を)指示された」としていたのに、市の再検証では「(児玉助役から)特定の機器を導入するような指示は受けていない。比較検討するように言われただけ」と述べていた。
 また、機器評定担当職員も、収賄の対象となった夜間の割引電力を利用した蓄暖機について、「市立栄小で導入した結果、購入費、維持費、環境面でも最も適している」と、重大な供述したにもかかわらず、調書は公判に未提出。
 さらに、車のローンの銀行口座も児玉氏は他人に知らせていないとし、贈賄側や車販売会社も児玉氏から教わった供述がない。児玉氏は購入の頭金や諸経費は現金で支払ったが、1年間記帳しなかったために振り込みに気づかず、逮捕10か月前の記帳で気づき、全額返却したと主張したが、判決は「偽証工作」と弾劾した。また、「贈賄業者の利益は約150万円なのに、252万円の贈収賄は不自然」と、不合理性も強く主張している。
 これらの検証結果から、木下市長は広報8月号で@新技術、製品の比較検討は積極的にA上司の指示を勝手に解釈しないB知人友人でも利害関係者であれば、通常以上に厳しく律するC自分の銀行口座の記帳、内容確認を確実に行う|の4点を通知。職員に信頼される行政を目指そうと訴えた。「また、この再検証は裁判批判ではなく、行政的な行為」と強調している。
 市長として、職員の信頼関係から、4年前からの再検証の内容は、守秘義務とされ、木下市長が今後、どんな形で市民や議会に説明、理解を得られるのかが焦点となりそうだ。


 【おことわり】本紙は7月29日の木下博信市長の記者会見直後、編集長個人名で市情報公開条例に基づき「06年7月からの児玉元助役の収賄事件に関係した職員課による職員の事情聴取」の公文書公開を請求した。むろん、司法上の有罪確定は尊重するが、再検証内容に重大な真実があり、それを追及するのが記者の使命だと確信したからです。
 しかし、8月17日付けで非公開が決定。理由は「職員の刑事事件等への関わりを調査、職務をより適正に行うために、職員に真実を述べるよう依頼した。そのような中で聴取した内容を公開すると、今後、真実を述べることを回避する結果になる」などです。これに対し記者は「市民全体に、再検証結果の関心が高まっており、市民の知る権利を優先すべきではないか」と、異議を申し立てたが、9月9日付けで再度非公開が決定した。
 記者は、現在まで市の守秘義務に縛られない多くの事件関係者から、資料や情報提供を受けました。市が最終的に情報非公開を決定した時点で、これらの掲載に踏み切りました。それが、市民の知る権利に応える責務だからです。

>戻る