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田山花袋の歩いた松伏を絵画に・若潮会の会員による絵画展

2014.3.10(松伏町)
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 作家・田山花袋(1872〜1930)が歩いた松伏町の風景を絵画で表現したいと、花袋が1921年ごろに松伏を訪れた際に書いた紀行文「水郷めぐり」をテーマにした絵画展「松伏の水郷展」が2月26日から3月9日まで、同町中央公民館で開かれた。松伏中美術部OBでつくる絵画グループ「若潮会」の10回記念展の一環として展示された。釣り人が憩う水辺や緑の風景など、花袋が絶賛した水郷松伏をキャンバス13枚に再現した。
 「町内の知り合いの農家で、田山花袋の紀行文を見て、私たちが幼かった頃の、緑の多い松伏を思い出した。これを油絵で表現できないかと、企画しました」と、若潮会代表の法廷画家・染谷栄さん(74)。ふだんはオウム真理教事件などの重要裁判の法廷で活躍する画家として活躍しているが、ふるさと・松伏への愛着は強い。
 染谷さんの後輩で農家の沢田訓男さん(65)が「皆が子どもの頃の松伏の風景を絵で残したい」と同展のきっかけをつくり、開催が実現した。
 花袋は「水郷めぐり」の中で「松伏の水郷」と題し、実際に松伏を歩いて紀行文を記した。ヨシやカワヤナギの水辺に立ち、ヨシキリがキ、キ、キと鳴くのを聞いて「東京近郊とは思えないほどの水郷の趣に富んだところ」と絶賛。「ところどころに絵のようにかけられた橋や、川に沿ったさびしい百姓家、紅い花のさいた合歓の木の下で、麦わら帽子をかぶった釣り客が釣り糸を静かに糸を垂らしている」と表現している。
 現役時代は、俳優座の舞台美術を担当していた、渡辺勝司さん(74)は古利根川の堂面橋から下流を見た風景。遠くに富士山を眺める景色を油絵で描いた。「子どものころは、まだ橋がなく、渡し船で越谷と行き来していました。近くには料亭が一軒だけあり、富士山の見える絶景ポイントでした」と振り返る。
 このほか、金杉地区にあった丸山や旧金杉小学校付近の用水路、越谷との境にある堰「松伏溜井」、田植えの風景など会員たちが幼かった頃の松伏の風景を油絵で再現した。
 若潮会は、松伏中で1951年から66年まで、美術教師をしていた故・横川孝好さん(94年没)が美術部の教え子たちのために55年に創設した絵画サークル。一時活動を休止していたが、96年にOBらが再結成し、現在の会員は21人。2003年から「松伏百景」をテーマに制作に取り組んでいる。染谷さんと渡辺さんはともに54年卒業の同級生。
 染谷さんは「懐かしい松伏の風景を描いていると、昔に戻れる感じがします。今回、皆で描いた作品は今後、どこかに常設展示できればいいな、と思っています」とうれしそうに話していた。

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