トップニュース

更生保護施設等開設条例案に待った・弁護士会ら「住民3分の1の同意」に異議

2012.9.3(松伏町)
ニュース写真
 松伏町は、刑務所や少年院を出た後に行き場のない人を受け入れる民間の更生保護施設や自立準備ホーム開設を巡り、住民の3分の2以上の同意を得なければならないなどとする全国初の条例制定を目指していたが、9月町議会での上程を見送った。先月、同条例案に対し、埼玉弁護士会とさいたま保護観察所長、更生保護法人清心寮理事長から見直しの要請があったためだ。同弁護士会では「同条例が更生保護の趣旨に反するし、憲法で保障された居住の自由を侵す恐れがある」と指摘。同町では「同施設の開設や運営にあたっては、地域住民の理解と協力が不可欠。条例は一部を再考し、次回の議会で上程する」としている。

 同条例は、町内の更生保護施設等の設置と開所について、設置予定者が行う手続きや必要な事項を定めて、町民の不安を取り除き、安心して暮らせることを目的に制定するもの。対象施設は更生保護施設、自立準備ホームなど。設置予定者は事前に必要事項を記載した書面を町長あてに提出する。当該敷地境界線から300bの範囲の住民や土地・家屋を所有している人に対し、説明会を開くことを義務付けた。そして説明会終了後に書面により、近隣住民らの3分の2以上の同意がなければ開設できないとした。
 全国初の条例制定に反応したのは埼玉弁護士会ら。同弁護士会の田島義久会長は「条例ができると、更生保護施設の設置が困難になる。住民の不安を取り除き、理解を求めていくのが自治体の役割。いたずらに危険視することで、出所者の社会復帰の道を狭めてしまう。条例を制定しないよう強く求める」として、8月17日、会田重雄町長に、声明文を手渡した。
 これに対し、会田町長は「更生保護施設等の開設や運営は住民の理解と協力が不可欠。今回、関係機関からの要請があり、対象施設や要件等を含め条例を再考し、上程する。また、国において、速やかに、開設に際し地域住民への理解と協力を得るための手続きや規定等を整備されることを期待する」と話している。
 条例案の見直しについて、同町福祉健康課では「対象施設を自立準備ホームとし、3分の2の住民同意に代わるものを検討している」という。更生保護法では、更生保護施設を開設する場合に地元自治体への届け出や、住民への説明会開催などの義務はない。
 同町福祉健康課では「更生施設を排除する目的での条例ではない。地域住民の理解を得てからつくることが望ましいので、制定を検討した」と話している。
 同町では昨年末、県内のNPO法人が同町大字松伏に自立準備ホームを開設すると町に通告。住民の要請で同法人が昨年12月と今年1月に住民らに説明会を開いたところ、反対され、また(自立準備ホームの)予定住宅の借家契約が白紙になったため、断念した。このことが町の条例制定へのきっかけとなった。
 同条例は内容を変えて、12月議会に上程される予定だ。

>戻る