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中3道徳教科書に作文掲載・中里さん、中学時代に書いた「梅雨に入った日」

2011.4.4(松伏町)
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 松伏町ゆめみ野の大学3年生・中里琢さん(20)が、松伏第二中学校3年生のときに書いた作文「梅雨に入った日」が2011年度から新中学3年生が使う道徳の教科書「道しるべ」(B5版、160n、正進社刊)に掲載された。同作文は2006年度の第25回全国中学生人権作文コンテスト中央大会で見事「法務副大臣賞」を獲得した作品だ。教科書では4nにわたって掲載され、挿絵も添えられている。
 「梅雨に入った日」は、琢さんが中学3年生当時、脳性まひの障害を持つ、兄の彗さん(24)とのかかわりを書いたもの。地元の越谷養護学校高等部を卒業した彗さんは就職のため毎週はローワークに通い、会社に面接に行っても何度も不採用になったが、ようやく隣の越谷市内のねじ製作会社で採用が決まり、翌週から会社に通うことになり、通勤用に傘を買うなど彗さんは喜んでいた。ところが就職前日の日曜日に同会社の工場長から電話があり「本社の社長から連絡があり、もし社内でけがでもしたら責任をもてないので、採用を見合わせたい」とのこと。電話に出た母親も彗さんも言葉を失った。そして「強くならなくてはならない。家族に守られているぼくが、いつか兄を守るために。障害を持つ人たちが悲しい思いをしないために」と書いている。兄を思う優しい気持ちのあふれた佳作だ。
 昨年9月に母校の松伏第二中から「出版社から教科書への掲載依頼がある」との話があり、5年前の作文掲載への話が進んでいった。「中学生のときに書いた作文なので、正直驚いています。兄への思いは変わりません」と琢さん。大学では欧米文化を学び、高校時代から続けている「演劇」サークルに入って学生生活を楽しんでいる。兄の彗さんは現在、町内の作業所に通ってパン作りなどに励んでいる。
 母親の雅子さん(53)は「まさか自分の子どもの作文が教科書に載るとは思いませんでした。作文は、ありのままの兄弟のかかわりを書いたもので、当時を思い出しました」と笑顔で話していた。父親の会社員・晋さん(54)の実家が岩手県宮古市にあり、現在も両親が住む。東日本巨大地震による津波の被害は幸い受けなかったものの、海岸沿いは大変な被害を受けている。出来上がった教科書を早速、宮古市の実家に贈り震災で気落ちしていた祖父母らを喜ばせた。

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